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 平成 7年版 犯罪白書 第4編/第3章/第2節/1 

第2節 現行の薬物犯罪取締法令の内容

1 規制対象薬物

(1) 麻薬及び向精神薬取締法
 麻薬及び向精神薬取締法の規制対象薬物は,同法の別表及び「麻薬,向精神薬及び麻薬向精神薬原料を指定する政令(平成2年政令238号)」に掲げられている「麻薬」131種類,「麻薬原料植物」3種類,「向精神薬」73種類である。同法においては,「麻薬」のうち「ジアセチルモルヒネ」については,他の麻薬より罰則が重くなっている。
(2) あへん法等
 広義のあへんに対する現行法制は,「けし」,「けしから」及び「あへん」を規制対象とするあへん法,「あへん末」等を規制対象とする麻薬及び向精神薬取締法,並びに,「あへん煙」,「あへん煙吸食器具」及び「あへん煙吸食のための建物又は室の提供」を規制対象とする刑法第2編第14章「あへん煙に関する罪」から構成されている。
 このうち,あへん法の規制対象である「けし」とは,けし属の植物のうち,パパヴェル・ソムニフェルム・エル及びパパヴェル・セティゲルム・ディーシーの2種をいい,「けしから」とは,「けし」の麻薬を抽出することのできる部分(種子を除く。)をいい,「あへん」とは,「けし」の液汁が凝固したもの(生あへん)及びこれに加工を施した加工あへんのうち医薬品として加工をしたものを除いたもの(調製あへん)をいう。
 一方,麻薬及び向精神薬取締法の規制対象である「あへん末」とは,生あへんを医薬品として加工したものをいい,刑法及びあへん法の規制対象である「あへん煙」とは,生あへんを直ちに吸食に供し得るように精製加工したものをいう。
(3) 大麻取締法
 大麻取締法の規制対象薬物である「大麻」とは,大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品をいう。ただし,大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く。)並びに大麻草の種子及びその製品は除かれている。
(4) 覚せい剤取締法
 覚せい剤取締法の規制対象薬物は,「覚せい剤」及び「覚せい剤原料」である。「覚せい剤」とは,フェニルアミノプロパン,フェニルメチルアミノプロパン及びその塩類並びにこれらのいずれかを含有する物である。
(5) 毒物及び劇物取締法
 毒物及び劇物取締法(以下「毒劇法」という。)が薬物犯罪の対象として規制している有機溶剤は,興奮,幻覚又は麻酔の作用を有する毒物,劇物又はこれらを含有する物として毒物及び劇物取締法施行令(昭和30年政令第261号)が定めている「トルエン並びに酢酸エチル,トルエン又はメタノールを含有するシンナー,接着剤,塗料及び閉そく用又はシーリング用の充てん料」(本編においては「シンナー等」という。)をいう。