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 平成 6年版 犯罪白書 第4編/第9章/第2節/1 

第2節 犯罪者の国外逃亡と逃亡犯罪人の引渡し

1 犯罪者の国外逃亡

 日本国内で犯罪を犯して国外に逃亡している被疑者数について,最近10年間における数の推移を見たのが,IV-49図である。近年,増加傾向を示しており,平成4年にいったん減少したが,5年は306人となり,前年と比べ19人(6.6%)増加した。
 平成5年の国外逃亡被疑者合計306人を国籍別に見ると,日本が82人(総数の26.8%)で最も多い。外国籍(無国籍・国籍不明を含む。以下,本章において同じ。)224人中では,台湾41人(総数の13.4%),中国40人(同13.1%),韓国・朝鮮22人(同7.2%),香港21人(同6.9%)の順となっており,日本以外のアジアの国籍の者が,合計192人で,総数の62.7%を占めている(警察庁刑事局の資料による。)。

IV-49図 国外逃亡者数の推移

 平成5年の国外逃亡被疑者を罪種別に見ると,刑法犯の被疑者188人(うち,日本国籍は47人。以下同じ。)の内訳では,凶悪犯(ここでは,殺人,強盗,放火及び強姦をいう。)が81人(3人)で最も多く,知能犯(ここでは,詐欺,横領,偽造,贈収賄及び背任をいう。)が50人(31人),窃盗犯が41人(7人),粗暴犯(ここでは,暴行,傷害,脅迫,恐喝及び凶器準備集合をいう。)が9人(4人)等となっている。また,特別法犯の被疑者118人(35人)の内訳では,薬物関係(ここでは,覚せい剤取締法違反,麻薬取締法違反及び大麻取締法違反をいう。)が81人(13人)で最も多く,銃刀法違反が17人(12人),入管法違反が7人(2人)等となっている(警察庁刑事局の資料による。)。
 平成5年の国外逃亡被疑者について,その推定逃亡先国(地域を含む。)を被疑者数の多い順に見ると,台湾39人(うち,日本国籍は0人。以下同じ。),フィリピン35人(25人),香港22人(1人),韓国・朝鮮21人(2人),アメリカ20人(13人)等となっている(警察庁刑事局の資料による。)。
 また,平成5年の国外逃亡被疑者306人のうち,出国年月日が判明している被疑者は155人(うち,日本国籍は43人。以下同じ。)で,犯行日から出国までの期間別にその内訳を見ると,犯行当日が6人(0人),犯行翌日が19人(6人),2日後が12人(2人)となっており,犯行後10日以内に国外に逃亡した被疑者は,合計で68人(43.9%),犯行後30日以内に国外に逃亡した被疑者は,合計で91人(58.7%)となっている(警察庁刑事局の資料による。)。