前の項目   次の項目        目次   図表目次   年版選択
 平成 6年版 犯罪白書 第4編/第9章/第1節 

第9章 刑事司法における国際協力

第1節 概  説

 前章までに見てきたように,我が国における最近の犯罪情勢を見ると,来日外国人による犯罪が増加するなど,犯罪者の面での国際化現象と,犯罪地が外国であったり複数国にまたがるなど,犯罪そのものの面での国際化現象が見られる。こうした犯罪と犯罪者の国際化の傾向は,犯罪者の国外逃亡事例を増加させるほか,刑事手続にも影響を及ぼしている。すなわち,近年,逃亡犯罪人(逃亡被疑者,逃亡被告人及びとん刑者をいう。)の身柄確保及びその引渡し,国外に存在する証拠の収集や情報の提供等,捜査及び裁判の分野において国際協力を要する事例が相当数発生しており,これに応じて諸外国との間の国際協力関係が進展している。本章では,こうした国際協力の現状を概観する。