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 平成 6年版 犯罪白書 第4編/第10章/第4節/2 

2 外国人による犯罪とその刑事処分の動向

 ドイツにおいては,外国人犯罪は激増している。
 IV-53表は,1984年から1992年までの間の,ドイツにおける「全犯罪」並びに「外国人法違反及び難民認定手続法違反(本節では,以下「外国人法関係犯罪」という。)を除く犯罪」のそれぞれについての,検挙人員総数と外国人の検挙人員の推移を見たものである。

IV-53表 検挙人員総数に占める外国人

 1992年における全犯罪による検挙人員総数は約183万人,うち外国人は約55万人で,外国人の比率は30.0%(外国人にほぼ特有の犯罪である外国人法関係犯罪を除いた場合,外国人は約42万人,比率は24.5%)となっており,1984年の16.6%(同13.7%)に比して大幅な上昇を示している。
 連邦刑事警察庁の統計によって,1992年の国籍別に見た外国人検挙人員の構成比は,トルコ(17.9%),旧ユーゴースラヴィア(16.3%),ルーマニア(14.7%),ポーランド(8.1%),イタリア(4.3%)の順となっている。ルーマニア,旧ユーゴースラヴィアの構成比が近年上昇している。
 IV-54表は,1992年における,検挙人員総数に占める外国人の比率が高い罪名を見たものである。外国人法関係犯罪のほか,すり,賭博,麻薬犯罪等における外国人の比率が高い。

IV-54表 外国人の比率が高い犯罪

 連邦統計庁の統計によって,1972年から1991年までの間の裁判確定人員総数に占める外国人の比率を見ると,1972年10.4%,1982年11.8%,1984年10.9%,1986年12.3%,1988年14.4%,1990年17.5%,1991年19.5%と,ほぼ年を追うごとに上昇していることが分かる。1991年における人口10万人当たりの裁判確定人員を見ると,ドイツ人では1,109.9人であるのに対し,外国人では3,132・1人と,ほぼ3倍となっている。