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 平成 4年版 犯罪白書 第4編/第3章/第2節/1 

第2節 女子刑務所における処遇

1 女子受刑者の推移

(1) 新受刑者数及び年末在所受刑者数
 IV-21表は,昭和41年以降における新受刑者数の推移を男女別に実数と構成比で示したものである。女子新受刑者は,40年代に減少傾向を示し,49年には,41年以降の最低を記録したが,50年からは増加に転じ,60年には最高に達した後,再び減少に向かっている。その傾向は,男子薪受刑者にもほぼ同様に見られるが,50年代における女子新受刑者の増加率は,男子新受刑者の増加率を上回り,女子新受刑者の構成比を見ると,50年代には上昇傾向を示した。しかし,60年以降は,おおむね横ばいとなっている。
 次に,同じくIV-21表により昭和41年以降の女子年末在所受刑者数の推移を見ると,最高は62年,最低は46年となっており,女子年末在所受刑者の構成比は,46年を底に上昇し,60年以降4%台を保っている。
(2) 新受刑者の罪名
 IV-14図は,昭和41年以降の新受刑者の罪名(窃盗,詐欺,殺人,覚せい剤取締法違反及びその他)別人員の推移を男女別に見たものである。50年代以降の新受刑者の増減は,男女とも覚せい剤取締法違反者の増減に大きく左右されていることが分かる。女子の場合,男子と比較すると覚せい剤取締法違反者の構成比が高く,女子覚せい剤取締法違反者は,56年以降,連続して,女子新受刑者の半数を超えており,平成3年では,女子新受刑者の55.9%を占めている。
(3) 新受刑者の刑名及び刑期
 平成3年の女子新受刑者の刑名を見ると,懲役が905人(99.0%),禁錮が9人(1.0%)である。拘留及び死刑は,該当者がいない。
 IV-15図は,昭和41年以降の有期懲役新受刑者の刑期別構成比の推移を男女別に見たものである。50年代以降においては男女共に,「6月以下」及び「1年以下」の構成比は低下傾向を,「2年以下」は上昇傾向を示している。

IV-21表 新受刑者の男女別人員等

IV-14図 新受刑者の罪名別人員の推移

IV-15図 有期懲役新受刑者刑期別構成比の推移

(4) 新受刑者の入所度数
 IV-22表は,昭和52年以降の新受刑者の入所度数別構成比を,男女別に見たものである。女子初入者の構成比は,男子初入者のそれと比較すると高いが,52年と平成3年を対比すると,初入者の構成比は,女子では10.3ポイント,男子では5.0ポイント低下しており,その差が縮まる傾向にある。女子新受刑者について見ると,入所度数2度から4度までの者の構成比の上昇傾向が認められるが,これは主として女子覚せい剤取締法違反者に再大者が多くなっていることによるものである。