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 平成 4年版 犯罪白書 第3編/第2章/第3節/3 

3 収容鑑別対象少年の特質

 平成3年に収容鑑別の対象となった少年について,幾つかの側面からその特質を見ると,次のとおりである。
(1) 非行名と年齢
 III-30表は,非行名と年齢層との関係を見たものである。非行名では,窃盗が32.8%で最も多く,以下,道路交通法違反12.1%,傷害11.3%,毒劇法違反10.5%,虞犯10.3%,恐喝4.8%,覚せい剤取締法違反4.3%の順となっている。
 年齢層別では,年長少年(本節では,20歳以上の者を含む。)が46.6%で最も多く,以下,中間少年38.6%,年少少年(本節では,14歳未満の者を含む。)14.8%の順となっているが,男女別に見ると,男子では年長少年の比率が,女子では中間少年の比率が,それぞれ最も高くなっている。
 非行名と年齢層との関係を男女別に見ると,男子では,窃盗が,いずれの年齢層においても36%前後を占め,最も多く,以下,年少少年では虞犯及び傷害が,中間少年では道路交通法違反,毒劇法違反及び傷害が,年長少年では道路交通法違反及び傷害が,それぞれ高率となっている。女子では,年少少年及び中間少年では虞犯が,年長少年では覚せい剤取締法違反が,それぞれ最も多く,以下,年少少年では窃盗及び毒劇法違反が,中間少年では毒劇法違反,覚せい剤取締法違反及び窃盗が,年長少年では窃盗,毒劇法違反及び虞犯が,それぞれ高率となっているほか,年齢層が高くなるに従って,虞犯の比率が下降し,覚せい剤取締法違反の比率が急上昇している。

III-30表 収容鑑別対象少年の非行名・年齢層・男女別構成比

(2) 非行時の身上
 III-31表は,非行種別と非行時の身上(継続している保護処分等の有無及び種類)との関係を見たものである。非行時に保護処分等が継続していた者は34.3%を占めており,その大部分が保護観察である。また,非行種別との関係で見ると,毒劇法違反,財産犯及び道路交通法違反を犯した者において,保護処分等が継続していた者の比率が高い。
(3) 非行名と入所回数
 III-32表は,非行種別と少年鑑別所入所回数との関係を見たものである。少年鑑別所に初めて入所した者は,71.1%を占めている。非行種別と入所回数との関係を見ると,入所2回以上の者(再入者)の割合が多いのは,薬物関係事犯と財産犯であり,再入者の割合が少ないのは,性犯罪と道路交通法違反である。
(4) 知能と精神状況
 平成3年に全国の少年鑑別所に入所した者のうち,知能指数の判明したものの内訳を見ると,知能指数59以下は1.6%,60〜69は4.4%,70〜79は16.9%,80〜89は24.0%,90〜99は29.3%,100〜109は15.6%,110〜119は5.8%,120以上は2.5%となっている。
 また,精神診断の結果,診断名の判明した者のうち,精神障害の認められたものは2.3%であり,その内訳は精神薄弱1.2%,精神病質0.1%,神経症0.1%,その他の精神障害0.9%となっている。

III-31表 収容鑑別対象少年の非行種別・非行時の身上別構成比

III-32表 収容鑑別対象少年の非行種別・入所回数別構成比

(5) 入所前の問題行動
 平成3年に全国の少年鑑別所に入所した者について,入所前の問題行動を男女別に見ると,男子の96.1%,女子の94.6%が喫煙し,男子の83.1%,女子の82.2%が飲酒している。また,性経験のある者は,男子が79.4%,女子が93.2%,家出歴のある者は,男子が47.8%,女子が81.6%,万引歴のある者は,男子が50.0%,女子が57.8%,自動車等の無免許運転歴のある者は,男子が78.0%,女子が49.1%,シンナー等濫用歴のある者は,男子が62.6%,女子が76.8%,覚せい剤濫用歴のある者は,男子が3.4%,女子が21.4%となっている。男子では喫煙歴,飲酒歴,性経験歴及び自動車等の無免許運転歴のある者が,女子では喫煙歴,性経験歴,飲酒歴,家出歴及びシンナー等濫用歴のある者が,それぞれ多い。