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 平成 4年版 犯罪白書 第2編/第4章/第5節 

第5節 民間の協力組織等

 犯罪者や非行少年の改善更生と円滑な社会復帰を図る更生保護の諸活動は,地域社会の理解と協力を得なければ,十分な効果を挙げることが困難である。我が国では,更生保護の諸活動に対して,積極的に参加・協力している民間篤志家が少なくなく,自主的に組織を結成しているものもある。協力組織の主なものとしては,BBS会及び更生保護婦人会があり,それぞれの概況は,次のとおりである。
 BBS会は,非行少年の良い「ともだち」となり,その兄や姉の立場に立ってその立ち直りを助けるとともに,犯罪や非行のない地域社会を目指して非行防止活動を行う青年の民間団体である。BBSとはBigBrothers andSistersMovementの略語であるが,我が国においては,アメリカ合衆国の先例を参考として,昭和22年に京都の学生によって始められ,その後全国各地に広がり,25年には全国組織が結成された。BBS会の組織は,市区町村等の地域を単位に結成されている地区BBS会が基盤となっているが,平成4年4月1日現在における地区会の数は569で,会員数は6,458人である。BBS会の最も重要な更生援助活動は,保護観察所等から依頼を受けて行う「ともだち活動」であるが,少年側の積極的希望がなければ続かないといった事情もあり,同日現在におけるその対象少年の数は,305人である。
 次に,更生保護婦人会は,婦人の立場から,地域社会の犯罪予防と犯罪者や非行少年の更生に協力することを目的とする婦人の民間団体である。昭和24年に犯罪者予防更生法が施行されて以後,市区町村等の地域を単位に地区会が組織され,逐次,県単位,地方ブロック単位(各地方更生保護委員会単位)の組織化が進み,39年には全国組織が結成された。更生保護婦人会の活動内容は,主として,更生保護思想の普及・宣伝,犯罪予防活動,保護観察対象者に対する援助,更生保護会在会者の激励などであり,平成4年4月1日現在における地区会の数は1,209で,会員数は18万9,107人である。
 このほか,更生保護事業に参加・協力する民間篤志家に,協力雇用主がある。協力雇用主は,保護観察又は更生緊急保護の対象者を,犯罪や非行の前歴を承知の上で雇用し,その改善更生に協力している。これは,もともと保護司や更生保護会が,知人の事業家に対象者の就職について協力を求めたことに始まったものであり,その後,保護観察所,保護司組織,更生保護会などが独自に,あるいは相互に連携して,協力者を求め,一部には,「協力雇用主会」などの名称で組織化されているところもある。平成4年4月1日現在における協力雇用主の数は,個人及び法人合わせて4,088であるが,必要な時に本人の希望する職種の協力雇用主が得られるとは限らないといった事情もあり,被雇用者の数は,906人である。
 なお,協力雇用主の業種別では,建設業が43.6%と最も高く,次いで製造業19.6%,サービス業11.5%などとなっている。