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 平成 2年版 犯罪白書 第3編/第4章/第4節/5 

5 価値観に基づく類型

 東京都生活文化局は,昭和51年以来3年に1回の周期で,「東京都青少年基本調査」を行ってきているが,その中に,青少年の価値観の違いを基に四つの青少年類型を見いだす調査がある。63年の同調査結果と非行群についての本調査結果を対比してIII-46図に掲げた。なお,同調査によれば,4類型とは,[1]「コツコツ型」(旧来からおとなが保持してきた社会規範を取り込み,おとなの期待に応えようとするまじめな青年),[2]「ふわふわ型」(理屈や理想へのこだわりが薄く,関心の対象がほとんど私事で,何事にもくよくよせず楽天的で将来のことよりも今が大事とする現実派青年),[3]「イライラ型」(世の中不満だらけの不平派だが,何が不満かといわれてもよくわからない。おとなの押しつけには最も反抗的。さりとて自己を主張することもない青年),[4]「ゆうゆう型」(状況を読み,時に応じて自分の判断で適切に行動するマイペース派。社会的には公認された規範を遵守するよりも自分が大切にしたい価値へのこだわりの方が強い知性派の青年)とされている。

III-46図 価値観に基づく類型

 本調査の非行群は,分布の多い順に,「イライラ型」(37.9%),「ふわふわ型」(28.0%),「コツコツ型」(26.3%),「ゆうゆう型」(7.8%)となった。男女差,年齢差,地域差が統制されていない全体比較であるため,とりあえずの目安を与えるものにすぎないが,一般青少年に比して,非行少年には「イライラ型」と「ふわふわ型」が多く,「ゆうゆう型」が少ないことがうかがわれる。