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 平成 2年版 犯罪白書 第3編/第4章/第4節/4 

4 少年非行の原因と非行少年の扱いに関する意見

 III-44図は,「少年が非行にはしるのは,どこに主な原因があるか」を尋ねた結果を示したものである。一般群では,男女共に,選択率の高い順に,「家庭(親)」(男子40.3%,女子50.6%),「少年自身」(男子30.0%,女子31.2%),「友達・仲間」(男子18.2%,女子11.4%)である。一方,非行群では,男女で選択率に差があり,男子では,選択率の高い順に,「少年自身」(52.0%),「友達・仲間」(30.5%),「家庭(親)」(12.2%)であるのに対して,女子では,同様に,「少年自身」(50.7%),「家庭,(親)」(28.5%),「友達・仲間」(16.3%)であり,男子は,「家庭(親)」よりも「友達・仲間」の方を,女子は,「友達・仲間」よりも「家庭(親)」の方を非行の原因として重要視しているのは注目される。
 なお,年齢が高くなるにしたがって,非行原因を家庭や友達に帰するよりも自分自身に求めようとする傾向が男子の一般,非行両群と女子非行群に認められる。

III-45図 非行少年の扱い

 次に,III-45図は,「非行少年の扱いについて,厳しく罰するか,温かく指導するか」を択一で回答を求めた結果を示したものである。これによると,全体では,一般群,非行群共に,「温かく指導する」とした者(一般群76.1%,非行群86.7%)が「厳しく罰する」とした者(一般群23.9%,非行群13.3%)よりも多い。ただし,一般群と非行群間,また,男女間では差が見られ,「厳しく罰する」ことに最も高率で同意するのは,一般群男子(31.2%)であり,「温かく指導する」ことに最も高率で同意するのは一般群女子(89.1%)である。非行群の男子と女子は,いずれも一般群女子に近い意見であった(「温かく指導する」とした非行群は,男子86.4%,女子87.9%)。
 非行群が,調査時点で少年鑑別所に収容されており,家庭裁判所の審判を待つ本人であることを前提に結果を読み取る必要があるが,非行の原因について,非行群は,男女共に約半数が自分自身としている(一般群では,男女共に約3割)反面,非行少年の扱いについては,これも男女共に,非行群の9割近くの者が温かく指導する方がよいとしている。