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 平成 2年版 犯罪白書 第3編/第2章/第2節/3 

3 その他の問題

 その他の問題として「いじめ」がある。「いじめ」とは,警察庁保安部の資料によれば,「単独又は複数の特定人に対し,身体に対する物理的攻撃又は言動による脅し,いやがらせ,無視等の心理的圧迫を反覆継続して加えることにより,苦痛を与えること(ただし,番長グループや暴走族同士による対立抗争事案を除く。)」とされている。その上,「いじめ」は,単に加害者側が加える攻撃の問題にとどまらず,攻撃される側,すなわち被害少年が「いじめ」に対する仕返しとして,殺人や傷害などを犯したり,「いじめ」からの逃避として自殺や登校拒否をするなどの事例も見られる。法務省人権擁護局の昭和62年の調査によると,同年中に「いじめ」事象として取り扱った件数は1,184件で,形態別では,「ブス,バイキン,死ね,ウジといった言葉によるもの」が43%で最も多く,次いで,「集団による無視,仲間はずれ」が34%,「殴る蹴る等の暴行,傷害を加えるもの」が30%などとなっており,身体的攻撃に加えて,陰湿な,心理的苦痛を伴うような事象が多く,登校拒否,転校,自殺などの遠因ともなっていることなども明らかにされている。