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 平成 元年版 犯罪白書 第1編/第2章/第5節 

第5節 公害犯罪

 I-40表は,検察庁における公害犯罪についての最近3年間の新規受理人員及び昭和63年の終局処理人員を罪名別に示したものである。63年の新規受理人員総数は,前年より221人(4.8%)減少して,4,408人となっている。これを罪名別に見ると,廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」という。)違反が2,669人(60.5%)で最も多く,以下,海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律(以下「海洋汚染防止法」という。)違反が1,348人(30.6%),水質汚濁防止法違反が258人(5.9%)となっており,この三者で全体の97.6%を占めている。前年に比して,海洋汚染防止法違反で197人(17.1%)増加し,廃棄物処理法違反では405人(13.2%),水質汚濁防止法違反で4人(1.5%)が,それぞれ減少した。

I-40表 公害犯罪の罪名別検察庁新規受理・終局処理人員(昭和61年〜63年)

 昭和63年の終局処理人員について見ると,総数では4,238人で,前年より469人(10.0%)減少している。そのうち,起訴人員は2,663人で,前年より556人(17.3%)減少しており,起訴率は63.8%である。なお,公判請求人員は50人で,起訴された者の中での公判請求の比率は1.9%(62年は1.9%,61年は1.4%)となっている。
 起訴人員を罪名別に見ると,廃棄物処理法違反が1,745人(起訴率は69.9%)で最も多く,以下,海洋汚染防止法違反が689人(同52.8%),水質汚濁防止法違反が144人(同63.2%)などとなっている。なお,これら三つの公害犯罪について,検察統計年報により,その法人・個人別終局処理人員の比率を見ると,廃棄物処理法違反では,法人の13.6%に対して個人が86.4%,海洋汚染防止法違反では,法人の15.0%に対して個人が85.0%,水質汚濁防止法違反が法人の37.2%に対して個人が62.8%となっている。