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 平成 元年版 犯罪白書 第1編/第2章/第4節/3 

3 道交違反事件

 道交違反事件のうち比較的軽微な形式犯に当たる行為について,道路交通法は「反則行為」という概念を設け,違反者に対して反則金の納付を通告し,その者が一定の期日までにこれを納付したときは,その違反行為について刑事訴追を行わないという方式を採っているが,昭和62年4月1日から「道路交通法の一部改正をする法律」の施行により,反則通告制度の適用範囲が拡大されるとともに,反則金の限度額が引き上げられている。
 I-39表は,昭和62年及び63年における道交違反事件の告知件数及び検察庁への送致件数を違反態様別に見たものである。道交違反事件総数は63年では前年より178万8,189件減少し,1,098万1,915件となっているが,そのうち反則事件として告知されたものは990万156件(前年に比べて155万9,773件減),非反則事件として検察庁へ送致されたものは108万1,759件(同22万8,416件減)である。送致された事件の違反態様は,酒気帯びが36万314件(33.3%)と最も多く,無免許17万320件(15.7%)がこれに次いでいる。62年に50万8,403件と最も多かった速度超過が,63年には6万8,208件と前年の13.4%に減少している。

I-39表 道交違反の告知・送致件数(昭和62年,63年)

 昭和63年における道交違反事件総数に占める反則事件告知数の比率は,90.1%と高く,前年に比べて0.4ポイント上昇している。告知件数に対する反則金納付件数の比率は,63会計年度では,96.3%であり,その納付総額は約806億円であり,前年より約231億円(22.3%)減少している。
 昭和63年における暴走族による道路交通法違反の検挙件数は8万901件,検挙人員は8万2,842人で,前年より検挙件数で1万9,520件(31.8%),検挙人員で1万9,697人(31.2%)と大幅に増加している。違反態様別に見ると,検挙件数では整備不良車両の運転等(以下「整備不良」という。)が2万6,947件(33.3%)と最も多く,以下,速度超過の6,390件(7.9%),信号無視の5,998件(7.4%),無免許の5,995件(7.4%),通行区分及び追越し違反の2,512件(3.1%)と続いている。なお,63年においては,前年に比べて,共同危険行為はわずかながら減少したが,整備不良(対前年比37.2%増),酒酔い及び酒気帯び(同33.6%増),信号無視(同26.9%増),速度超過(同26.2%増),無免許(同14.9%増),通行区分及び追越し違反(同9.3%増)は,それぞれ著しく増加している。