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 昭和37年版 犯罪白書 第一編/第五章/三/4 

4 前刑の出所事由と再犯期間

 刑務所出所の事由を満期釈放と仮釈放とに大別できるが,この事由別に再犯期間をみると,満期釈放になったものの方が仮釈放よりも再犯するスピードがやや早い。昭和三三年から昭和三五年までの三年間の再入受刑者について,満期釈放と仮釈放別に再犯期間をみると,I-91表のとおり,釈放後六カ月未満に再犯しているものは,満期釈放が四七・九%,仮釈放が三六・二%であり,満期釈放が高率である。このうち三カ月未満に再犯しているものは,満期釈放は三一・四%,仮釈放は二〇・二%であるから,仮釈放は満期釈放より短期に再犯に陥ることが少ないといえる。仮釈放を許可する基準の一つとして再犯のおそれということが考慮されているため,比較的再犯のおそれの少ないと認められる者に仮釈放が許される場合が多いということが,このような傾向をみせている一つの理由であろう。

I-91表 再入受刑者の前刑出所事由別人員と率(昭和33〜35年の計)

 なお,昭和三四年に刑務所より出所した者四五,九七七人について,昭和三五年末までに再入の有無を行刑統計年報により調査すると,その二一・一%にあたる九,六八九人が再入しているが,この再入受刑者について前刑の釈放が満期釈放か仮釈放かを事由別にみて,それぞれの再入の割合を示すと,満期釈放はその四〇・二%が,仮釈放はその二六・八%が,それぞれ昭和三五年末までに再入している。この点からも,満期釈放者の再犯のスピードが仮釈放に比して早いことがわかる。