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 昭和63年版 犯罪白書 第4編/第3章/第5節/2 

2 罰金額

 IV-40表は,罰金刑の多数回前科者について,犯数別に,その科せられた罰金額の分布状況を見たものである。それぞれの犯数において罰金に処せられた者のうち,1万円未満の罰金を受けた者は,初犯では70.1%であるが,第6犯から第10犯まででは28.5%,第21犯以降では8.6%となり,犯数が増えるとともに減少している。1万円以上3万円未満の罰金を受けた者は,犯数が増えるとともに増加し,第6犯から第10犯まででは38.7%に達するが,第11犯以降では逓減している。3万円以上の罰金を受けた者は,犯数が増えるとともに増加し,第11犯から第15犯まででは49.2%,第21犯以降では63.8%となっている。このように罰金額は,犯数が増えるとともに増額されているが,犯数が増加する間の貨幣価値の変動も大きいために,これを実質的な罰金額の増額と見ることは必ずしも適当ではないであろうし,また,法律改正による罰金額の引上げについても,考慮のうちに入れるべきであろう。

IV-40表 財産刑多数回前科者の犯数・罰金額別構成比