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 昭和60年版 犯罪白書 第4編/第4章/第3節/6 

6 社会を明るくする運動

 法務省の主唱により,全国的な運動として,「社会を明るくする運動」が実施されているが,これは,すべての国民が,犯罪の防止と罪を犯した人たちの更生について理解を深め,それぞれの立場において力を合わせ,犯罪のない明るい社会を築こうとする運動であり,昭和26年から始められ,翌27年以降毎年7月1日から1か月間にわたって,全国各地で繰り広げられている。この運動は,毎年,重点目標を定めて実施されているが,近年では,その目標として,非行防止活動への住民参加や地域活動の推進など,地域社会における市民参加が強調されていることから,街頭パレード,講演会等の行事のほかに,特に1-ミニ集会」と称する小人数の住民集会を多く開催し,その成果を上げている。
 IV-81表は,「社会を明るくする運動」の行事開催回数及び参加者数を示したものである。同表によれば,行事開催回数,参加者数のいずれも逐年増加し,昭和54年から58年までの5年間に,開催回数では,43.4%増加して3万1,524回に,また,参加者数では,55.8%増加して263万2,703人となっている。

IV-81表 「社会を明るくする運動」の行事開催回数及び参加者数(昭和54年〜58年)

 昭和58年の参加者数を行事別に見ると,地域の住民が参加して行う住民集会が,106万4,806人と最も多く(40.4%),しかも,これを54年の60万3,324人に比べると76.5%も増加しており,このことから,市民参加が地域住民の中にいかに浸透しつつあるかが窺える(法務省保護局の資料による。)。
 ところで,法務省保護局では,昭和54年に東京都,大阪市,名古屋市,福岡市の各1地域を犯罪予防のためのモデル地区として設置し,1年6月間にわたって,継続的,計画的な犯罪予防活動を実施したが,この結果によれば,[1]犯罪予防活動は公的機関と住民が共同して行うべきだとする者が増えたこと,[2]住民の8割以上が実施期間中に犯罪予防に関する情報に接し,4割強が何らかの参加協力をしたとしていること,[3]活動への参加協力には保護司等の呼び掛けが有効であること,[4]活動に参加協力した者には,そうした活動が地域環境浄化や住民の犯罪・非行防止上の気運を盛り上げるのに役立つと積極的に評価する者が多いことなどが明らかにされている。
 なお,「社会を明るくする運動」に連携して,昭和54年から,総務庁の主唱により「青少年を非行からまもる全国強調月間」が定められ,警察,市町村,民間団体等の参加のもとに,毎年7月に全国規模で非行防止のための活動が行われている。