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 昭和60年版 犯罪白書 第4編/第4章/第3節/5 

5 協力雇用主

 犯罪者や非行少年のなかには,犯罪や非行の前歴を有するという社会的負因に加えて,資質や環境に恵まれないという個人的負因を持つ者も少なくないことから,定職を得るということは必ずしも容易でなく,このことによって更生が妨げられることが多い。このような犯罪者や非行少年に対じて,前歴を承知の上で進んで職場を提供し,その改善更生に協力しようというのが民間の協力雇用主である。協力雇用主は,もともと保護司や更生保護会が処遇上の必要から,自らの知人や縁故者に保護観察対象者などの就職について協力を求めたことに始まり,その後,保護観察所や保護司組織,更生保護会(昭和54年〜58年各4月1日現在)などが連携して地域社会の中から開拓してきたものであり,一部には「協力雇用主会」などの名称のもとに組織化を図っているところもある。
 IV-80表は,協力雇用主数及び被雇用者数を示したものである。同表によると,協力雇用主数では,3,000人前後を上下し,昭和58年は3,111人と前年に比べて5.2%低下しているが,被雇用者数では,58年が960人と前年に比べると3.8%上昇している。

IV-80表 協力雇用主・被雇用者数

 なお,協力雇用主数を業種別に見ると,昭和58年では,建設業が32.8%と最も高く,以下,製造業18.6%,サービス業9.0%,電気ガス水道工事業6.0%,卸小売業5.6%,運送業5.2%などの順となっている(法務省保護局の資料による。)。