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 昭和60年版 犯罪白書 第4編/第2章/第3節/1 

第3節 少年保護

1 保護観察

 (1) 保護観察終了者の再犯状況
 IV-23表は,保護観察処分少年(交通短期保護観察少年を除く。以下同じ。)について,保護観察を終了した者のうちその期間中の犯罪・非行により保護処分又は刑事処分(起訴猶予を含む。)を受けた者の占める比率(以下「再犯率」という。)を,罪名・非行名別に見たものである。まず,終了者総数における再犯率は,昭和54年以降の5年間に,21%ないし22%を上下している。次いで,再犯率と罪名・非行名との関係を見ると,再犯率の高いのが毒物及び劇物取締法違反(28%ないし33%),窃盗(28%ないし31%),恐喝(27%ないし33%),虞犯(22%ないし28%),傷害(22%ないし26%),覚せい剤取締法違反(20%ないし25%),暴力行為等処罰法違反(21%ないし24%)などであるのに対し,再犯率の低いのは業過(11%ないし12%),強姦(14%ないし16%),強盗(15%ないし17%),道路交通法違反(17%ないし18%)などとなっている。

IV-23表 保護観察処分少年の罪名・非行名別再犯率(昭和54年〜58年)

 IV-24表は,少年院仮退院者について,同じく再犯率を罪名・非行名別に見たものである。まず,終了者総数における再犯率は,昭和54年以降の5年間に,27%ないし29%を上下している。次いで,再犯率と罪名・非行名との関係を見ると,再犯率の高いのが窃盗(32%ないし38%),毒物及び劇物取締法違反(26%ないし32%),虞犯(26%ないし30%),恐喝(24%ないし32%),傷害(19%ないし23%)などであるのに対し,再犯率の低いのが暴力行為等処罰法違反(7%ないし21%),業過(8%ないし15%),覚せい剤取締法違反(12%ないし18%)などとなっている。

IV-24表 少年院仮退院者の罪名・非行名別再犯率(昭和54年〜58年)

 保護観察処分少年と少年院仮退院者の再犯率を比べてみると,保護観察処分少年の方が,終了者全体では低いが,罪名・非行名別では覚せい剤取締法違反及び暴力行為等処罰法違反等において高いことが注目される。
 (2) 保護観察終了者の再犯期間
 IV-25表は,保護観察処分少年について,保護観察を終了した者のうちその期間中の犯罪・非行により保護処分又は刑事処分(起訴猶予を含む。)を受けた者が,保護観察に付されてからその処分を受けるまでの期間,すなわち再犯期間を見たものである。昭和54年以降の5年間において,3月を超え6月以内が17%ないし19%,1年を超え2年以内が27%ないし29%,2年を超えるが8%ないし10%をそれぞれ上下しているが,再犯期間の最も短い3月以内が54年の16.0%から58年の12.9%と56年を除いて低下していること,及び6月を超え1年以内が54年の26.9%から58年の30.3%と一貫して上昇していることなどから,概して再犯期間は徐々に長くなっているといえる。

IV-25表 保護観察処分少年の再犯期間(昭和54年〜58年)

 IV-26表は,少年院仮退院者について,同じく再犯期間を見たものである。昭和54年以降の5年間において,3月を超え6月以内が19%ないし21%,6月を超え1年以内が29%ないし33%,1年を超え2年以内が23%ないし29%をそれぞれ上下しているが,再犯期間の最も短い3月以内が54年の17.3%から58年の13.6%と低下傾向にある上に,再犯期間の最も長い2年を超えるが54年の6.1%から58年の8.6%と上昇傾向にあるなど,保護観察処分少年と同様に概して再犯期間は徐々に長くなっている。
 保護観察処分少年と少年院仮退院者について,再犯期間が比較的短い6月以内の者の比率を比べてみると,少年院仮退院者が33%ないし38%であるのに対し,保護観察処分少年が31%ないし35%であり,概して少年院仮退院者の再犯期間が短い傾向にある。

IV-26表 少年院仮退院者の再犯期間(昭和54年〜58年)