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 昭和59年版 犯罪白書 第2編/第3章/第2節/4 

4 強  盗

 II-48表は,最近3年間における,強盗一般及び金融機関等強盗の認知件数を見たものである。強盗一般の認知件数は,昭和56年の2,325件から,57年には若干減少したものの,58年には2,317件と56年とほぼ同一の水準にあり,また,そのうち金融機関強盗の認知件数も過去3年間ほとんど変化がなく,58年は216件である。ただ,この内訳では,サラリーマン金融と称される庶民金融機関を対象とするいわゆるサラ金強盗の増加が目立っている。さらに,最近では,小人数で深夜現金を扱っているスーパーマーケットを対象とする強盗も増加傾向を示し,58年には81件へと前年に比べて,19件,30.6%の増加を示している。

II-48表 強盗及び金融機関等強盗の認知件数(昭和56年〜58年)

 このように,強盗は全体として見ると変化がないようであるが,不特定の一般市民を巻き込む危険性が高い金融機関・スーパーマーケット強盗等現代型の強盗の多発は社会に大きな不安感をもたらすものであり,我が国において,今後,更に流通機構の高度化が進展すると予想されるだけに,こうした現代都市社会の需要を逆用した凶悪事犯が増加するおそれがある。
 II-49表は,強盗のうちでも危険性の高い強盗致死傷の最近5年間における認知件数を見たものである。両者を合わせた総数では,昭和54年が821件であったのにその後増加傾向を示し,56年,57年には882件に達し,58年も880件とほぼ同一水準にある。言うまでもなく,強盗致死は,経済的欲望のために,他人の生命を犠牲にするもので,最も凶悪な犯罪類型の一つであるが,この認知件数が,52年以降57年まで53件,41件,55件,45件,52件,48件と比較的平穏に推移していたところ,58年には65件と52年以来の最高に達しており,今後の動向について特に厳重な警戒を要すると言えよう。

II-49表 強盗致死傷の認知件数(昭和54年〜58年)