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 昭和58年版 犯罪白書 第2編/第2章/第4節/4 

4 科刑状況

 最後に,本件調査の対象とした1,359人について,その科刑状況を見ると,II-52表のとおりである。殺人では,死刑1人(保険金入手目的で実母を殺害し,その犯跡隠ぺいのため妻をも殺害したもの),無期3人があるほか,有期の実刑を見ると,5年以下が最も多く全体の19.0%を占め,10年以下の17.5%,7年以下の14.7%と続き,執行猶予は23.5%となっている。強盗では,死刑2人(その1は,強盗殺人により3名を殺害し,その2は,強盗強姦・強盗殺人により1名を殺害したもの),無期11人があり,有期の実刑としては,5年以下の占める比率が全体の42.1%と最も高く,これに次ぐのが7年以下の15.1%で,執行猶予は16.7%である。強姦では,無期が1人であり,有期の実刑を科せられた者では3年未満が最も多く25.1%を占め,執行猶予者も44.7%に上っていて,殺人や強盗に比べて刑が軽いが,これは罪質自体の相違によるほか,前記のとおり,被害者との間に示談の成立することが多いためであろう。

II-52表 罪名別科刑状況(全国)