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 昭和57年版 犯罪白書 第2編 /第1章/2 

2 少年事件

 少年(20歳に満たない者)の事件については,警察等は,事件を検察官に送致しなければならないことは成人事件の場合と同様であるが,罰金以下の刑に当たる事件及び虞犯事件で家庭裁判所の審判に付すべき事由があると思料するときは,直接家庭裁判所に送致する。少年事件の送致を受けた検察官は,犯罪の嫌疑があると思料する限り,すべて事件を家庭裁判所に送致する。家庭裁判所における少年事件の審判は,保護処分優先の原則に基づいて行われる。調査の結果,審判を開始しない場合は審判不開始,審判を開始したときは,不処分,保護観察,教護院・養護施設送致,少年院送致,検察官送致等の決定がなされる。なお,18歳未満の少年の事件については,知事又は児童相談所長に送致されることがある。保護観察は,少年を矯正施設に収容することなく,更生保護機関の社会内処遇によって少年の改善更生を図る処分である。少年院送致及び教護院等送致を受けた少年は,少年院又は教護院等に収容される。これに対し,検察官送致は,刑事処分を相当として事件を検察官に送致する処分であり,これを受理した検察官は,成人事件と同様の手続によって原則として少年を起訴する。裁判の結果,懲役・禁錮の実刑判決が確定した少年は,少年刑務所に収容される。なお,少年院又は少年刑務所収容中に仮退院又は仮出獄を許可された者は,保護観察に付される。
 保護観察は,以上のように,保護観察処分少年,少年院仮退院者,仮出獄者,保護観察付執行猶予者及び婦人補導院仮退院者という5種類の対象者に対して行われるが,保護観察中の再犯又は遵守事項違反等によって,矯正施設に収容されることがある。