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 昭和55年版 犯罪白書 第4編/第3章/第2節/2 

2 仮退院

 昭和24年以降における仮退院の許可状況を見ると,許可人員は,巻末の付表第5表のとおりであって,27年の9,753人をピークとし,その後はおおむね減少傾向をたどり,50年には1,650人にまで減少したが,51年から増加に転じ,54年には3,529人に達している。すなわち,IV-17図に示すとおり,28年から36年まではおおむね7,000人台であったが,続く37年から42年までは6,000人台に減少し,更に,43年から49年までは前年比9.8%ないし22.6%の減少を続けたが,51年以降は増加に転じて前年比11.8%ないし30.6%の上昇を続け,51年及び52年が2,000人台に,53年及び54年は3,000人台となっている。

IV-17図 少年院仮退院許可人員及び少年院年末現在収容人員の推移(昭和24年〜54年)

 少年院仮退院の審理においては,仮退院の申請が棄却される者の比率は概して低い。許可人員と棄却人員の合計に対する棄却人員の占める比率(棄却率)を,昭和25年から50年までの5年ごと及び51年から54年までについて見てみると,IV-62表のとおりである。これによると,棄却率は,25年に4.1%,28年に3.4%を見るほかは約2%以下であり,43年以降は1%未満にすぎない。これは,仮出獄者の棄却率が近年10%を超えていることと比べて対照的である。

IV-62表 少年院仮退院の許否状況,出院事由別人員及び年末収容人員(昭和25年,30年,35年,40年,45年,50年〜54年)

 少年院からの出院状況を,昭和25年から50年までの5年ごと及び51年から54年までにおける仮退院による出院と仮退院によらない満齢等による退院とで見てみると,前掲のIV-62表のとおりである。少年院出院者中の仮退院による出院者の占める比率は,26年に98.0%の高率を見た後は,40年代半ばまでおおむね下降を続け,44年から46年までの3年は71.4%であるが,47年から上昇に転じ,53年が90.9%,54年が90.7%と再び高率を占めるに至り,少年院に入院した者の大部分が仮退院によって出院している。