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 昭和55年版 犯罪白書 第3編/第2章/第2節/4 

4 収容少年の特性

(1) 非行名及び年齢
 III-48表は,昭和54年における少年鑑別所収容少年の非行名と年齢層との関係を見たものである。非行名は,自動車以外の窃盗が最も多く24.8%,自動車の窃盗を加えると34.7%となり,次いで,虞犯の14.4%,傷害の6。9%,毒物及び劇物取締法違反の6.8%,道路交通法違反の6.4%,覚せい剤取締法違反の5.4%などとなっている。
 年齢層は,16歳未満の年少少年が16.4%,16・17歳の中間少年が35.4%,18歳以上の年長少年が48.3%であり,前年に比べて,年少少年がやや増加し,年長少年がやや減少している。
 .年齢層と非行名の関係を男女別に見ると,男子については,いずれの年齢層においても窃盗(自動車窃盗とそれ以外の窃盗の合計)が最も多いが,2位及び3位の非行名は,年少少年では虞犯,毒物及び劇物取締法違反,中間少年では毒物及び劇物取締法違反,道路交通法違反,年長少年では傷害,道路交通法違反となっている。女子では,年少及び中間少年の虞犯,年長少年の覚せい剤取締法違反の比率が最も高い。

III-48表 非行名別・年齢層別構成比

(2) 知能及び精神状況
 III-49表は,昭和54年における家庭裁判所関係鑑別終了者の知能指数段階別人員の構成比を見たものである。知能指数が69以下の者の比率は5.0%,70から79までの者は15.0%であるが,男女を比べると,これらの段階の女子の比率がやや高くなっている。
 III-50表は,前表の対象者について,精神診断別人員の構成比を見たものである。精神障害のある者の比率は3.2%,うち,精神薄弱が1.8%,精神病質が0.3%,神経症が0.1%,その他の精神障害が1.0%である。男女を比べると,女子の精神薄弱の比率がやや高くなっている。

III-49表 知能指数段階別人員の構成比

III-50表 精神診断別人員の構成比

(3) 再入少年
 昭和54年における少年鑑別所の再入少年は,III-51表によると,男子については,1万2,936人のうち3,359人(26.0%),女子については,2,145人のうちの441人(20.6%)であり,これは前年における男子の26.1%,女子の21.1%とおおむね同様な比率である。なお,男子初入少年9,577人のうち8,079人(84.4%)に,女子初入少年1,704人のうち1,119人(65.7%)に,非行歴が認められる。
 非行歴のある者について,再非行期間(前回警察の補導以上の措量を受けた後,本件非行を行った時までの期間をいう。ただし,養護施設及び補導委託施設以外の収容施設に入っていた期間を除く。)の累積率を見ると,男子については,1月以内が14.5%,3月以内が36.1%,6月以内が57.4%,1年以内が76.4%などであるが,女子については,それぞれ24.9%,52.0%,71.0%,83.8%などであり,いずれの期間においても男子を上回っている。

III-51表 入所度数別再非行期間の累積率

 入所度数と再非行期間との関係を見ると,男子の場合,入所度数2度の者の3月以内の再犯期間を例外として,入所度数が多くなるにつれて再非行期間が短くなる傾向が認められる。女子の場合,入所度数の初度の者よりも,2度の者の再非行期間が短くなっているが,2度の者と3度以上の者との間の明らかな差は認められない。