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 昭和55年版 犯罪白書 第1編/第3章/第3節/2 

2 執行猶予取消率の推移

 I-86表は,昭和23年以降51年までの各年次において,前記50万人中,有期懲役・禁錮の執行猶予を言い渡された者について,保護観察の有無別に,執行猶予を取り消された者の比率を見たものである。単純執行猶予者の取消率について見ると,23年の13.2%から,一時低下した後,26年ころから上昇に向かい,34年ころから再び低下し,48年にやや上昇に向かい,49年には7.7%であるが,執行猶予期間未経過の者を含む50年で8.6%,同じく51年で8.8%と,既に49年を上回っている。保護観察付執行猶予者について見ると,29年の42.6%からやはり起伏を示しながら低下し,40年代前半に最も低くなったが,その後上昇に向かい49年には25.3%で,執行猶予期間未経過の者を含む50年で34.4%,同じく51年で27.5%と,単純執行猶予の場合と同様に49年の取消率を上回っている。この両者の取消率を,業過を除外した前年の分析と比べると,単純執行猶予者では,いずれも起伏を示しながら低下していることは同じであるが,業過を含めた場合の方が,各年次ともおおむね下回っており,23年以降の平均取消率(業過を含めた場合は51年まで,業過を除外した場合は50年まで)で見ると,業過を含めた場合が10.6%,業過を除外した場合が11.9%となっている。保護観察付執行猶予者では,いずれも長期的には低下しているが,各年次で見ると,業過を含めた場合の方が上回っている年次が相当数あり,29年以降の平均取消率(業過を含めた場合は51年まで,業過を除外した場合は50年まで)では,業過を含めた場合が28.0%,業過を除外した場合が28.5%となっている。

I-85表 執行猶予者の再犯率

I-86表 執行猶予取消率