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 昭和54年版 犯罪白書 第4編/第2章/第2節/1 

第2節 暴力団関係者の矯正処遇

1 概  説

 本節では,主として行刑施設の中における暴力団関係者の処遇について述べることとする。
 IV-14表は,昭和50年以降の各年末の時点において,受刑者総数中に占める暴力団関係者の比率を示すものである。受刑者総数中に占める暴力団関係者の比率は,逐年増加の一途をたどり,53年末では24.1%(実人員9,977人)を占め,前年末に比べて,782人(前年末の人員数の8.5%)の増加となっている。

IV-14表 暴力団関係受刑者数

 新受刑者の入所時の分類調査では,暴力団に加入しているか,又は,暴力団の周辺的構成員でその所属期間が1年以上の者は,その他の指標を加味して,収容分類級のB級(犯罪傾向の進んだ者)に判定されることが多い。その結果,B級受刑者を収容する施設では,暴力団関係者が35%前後を占め,中には,40%近くを占めている施設もある。また,暴力団関係受刑者の多くは,更生意欲,生活態度等において問題が多いため,処遇分類級としては,G級(生活指導を必要とする者)に編入されている。このような状況の下では,まず,施設の安全と秩序の維持に格段の注意と努力を払うことが必要とされる。
 暴力団関係受刑者の処遇の重点としては,[1]保安及び警備を厳重にし,厳正な態度をもって接遇すること,[2]収容者間の人間関係に注意すること,特に,外部の派閥間の対立・抗争を施設内に持ち込むことがあるので,必要に応じて,分散収容を行うこと,[3]労働の意欲及び習慣を助長すること,[4]暴力団関係組織からの離脱を真剣に考える者に対しては,保護関係の維持・回復を積極的に行うことなどがあげられ,これらの処遇が実効あるように努力が払われている。