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 昭和36年版 犯罪白書 第二編/第二章/三/2 

2 忌避の申立

 裁判官がその担当する事件について不公平な裁判をするおそれがあるときは,当事者は,裁判官がその事件に関与することを排除されたいとの申立をすることができる。法律上これを忌避の申立とよんでいる。
 法務省刑事局の調査によると,昭和三四年において第一審で忌避の申立(回避の申立を含む)がなされた総数は,四三件であるが,このうち公安犯罪に関するものは,二一件であるから,忌避の申立のほぼ半数に近いものが公安犯罪についてなされたことになる。公安犯罪は一般犯罪の〇・二%ないし〇・三%に満たない数であるのに,忌避申立の数がそのほぼ半数を占めていることは,この種事件の特殊性をあらわす一資料といえるであろう。