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 昭和53年版 犯罪白書 第3編/第4章/第3節/3 

3 人格特性

 人格特性として,知能指数及び精神状況について見ると,それぞれ,III-67表及びIII-68表に示すとおりである。知能指数79以下では,詐欺累犯の55.0%,窃盗累犯の44.7%に対し,対照群は31.3%であって,窃盗累犯・詐欺累犯は対照群に比べてかなり高率になっている。反対に,知能指数100以上では,対照群の19.8%に対して,窃盗累犯の17.0%,詐欺累犯の7.5%と低くなっている。次に,精神状況では,対照群に比較して,窃盗累犯及び詐欺累犯に精神障害のある者の比率が高く,特に,窃盗累犯の精神薄弱の比率が8.1%を占めているのが注目される。

III-67表 窃盗・詐欺累犯者の知能指数

III-68表 窃盗・詐欺累犯者の精神状況

 III-69表は,年齢について見たものである。詐欺累犯は,24歳未満の者が皆無であり,25歳から29歳まででも14.6%を示して,対照群の27.0%,窃盗累犯の23.1%を下回っており,また,50歳以上の者の占める率が17.1%と,窃盗累犯の9.2%及び対照群の3.4%を大きく上回っているのが注目される。詐欺累犯の遅発傾向と持続傾向を裏付けるものと言えよう。

III-69表 窃盗・詐欺累犯者の年齢