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 昭和53年版 犯罪白書 第2編/第3章/第2節/3 

3 保護観察の成績

 保護観察は,保護観察期間の満了,良好措置又は不良措置による終了及び再犯・再非行による新たな処分による保護観察の取消しなどで終了するが,昭和52年における保護観察の終了状況を見ると,II-87表のとおりである。総数では期間満了による終了が最も多く47.6%を占め,次いで良好措置による終了が42.0%,不良措置・再犯等による終了が9.5%である。保護観察の種別で見ると,保護観察処分少年では良好措置による終了が極めて高く72.3%を占め,一方,不良措置・再犯等による終了は6.2%と低くなっている。少年院仮退院者では,不良措置・再犯等による終了が多く,19.3%を占めている。仮出獄者では不良措置・再犯等による終了率が5.5%で最も低いが,これは保護観察の期間の短い者が多いことによる。保護観察付執行猶予者では,不良措置・再犯等による終了が29.5%を占め,保護観察の種類別ごとの不良措置・再犯等による終了率では最も高くなっている。しかも,そのほとんどは再犯による執行猶予の取消しによるものである。なお,保護観察付執行猶予には,良好措置による終了は制度上ない。

II-87表 保護観察終了者の終了事由(昭和52年)

 良好措置により終了した者のほかに,行状が安定し良好措置を検討中に保護観察期間が満了して保護観察が終了する者があり,また,不良措置を執るまでには至らないが行状が不安定のまま期間が満了して終了する者もある。そこで,保護観察を終了した者すべてについて生活態度等を総合的に評価して,良好,普通,不良の三段階の成績で分けてみると,II-88表のとおりである。

II-88表 保護観察終了者の成績別人員(昭和52年)

 保護観察処分少年では83.9%の者が良好の成績で保護観察を終了している。少年院仮退院者では41.1%,仮出獄者では46.3%,保護観察付執行猶予者では48.2%がいずれも成績良好で保護観察を終了している。
 他方,不良な成績は,総数では9.4%であって低いが,しかし,保護観察の種類別で見ると,少年院仮退院者,保護観察付執行猶予者では,それぞれ,35.2%,38.9%と約三分のーの者が不良の成績で終了している。

II-89表 保護観察終了者の成績(昭和48年〜52年)

[3] 仮出獄者

 II-89表は,保護観察終了時の成績を最近5年間について見たものである。いずれの種類別で見ても,良好な成績の者が最も高い比率を占め続けている。仮出獄者では,良好な成績の者の比率が若干下降しており,また,保護観察付執行猶予者ではそれがほぼ横ばいであるが,保護観察処分少年と少年院仮退院者では,良好な成績の者の比率が増加している。一方,不良な成績の者の占める比率は,保護観察処分少年と少年院仮退院者については減少ないし横ばいであるが,仮出獄者及び保護観察付執行猶予者については,おおむね増加傾向にある。
 仮出獄者と満期釈放者について,刑務所出所後第3年までに刑務所に再び入所した人員を見ると,II-90表のとおり,昭和46年から50年までの5年間に出所した者の再入率では,仮出獄者では19.9%ないし23.6%であるが,満期釈放者では41.2%ないし47.5%であり,出所年別に見ると,いずれの年についても,仮出獄者の再入率は,満期釈放者の再入率のおよそ二分の一になっている。

II-90表 仮出獄者と満期釈放者の成行き(昭和46年〜50年)