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 昭和52年版 犯罪白書 第3編/第2章/第1節/3 

3 道路交通法違反事件

 道路交通法違反取締件数は,自動車保有台数の増加と交通取締りの強化を反映して,増加傾向を続けており,昭和51年では1,183万6,250件となっている。これは,前年より167万7,541件(16.5%)の増加であり,42年のそれの約2.5倍に当たる。
 昭和51年の道路交通法違反事件の取締状況を,違反態様別に見ると,III-72表のとおりである。最も多いのが最高速度違反で,総数の42.1%を占めており,駐停車違反が16.4%,通行禁止・制限違反が8.7%,一時停止違反が6.0%などとなっている。近年,最高速度違反の比率が高くなってきている。
 III-73表は,道路交通法違反のうちで,危険性の高い違反態様である無免許,酒酔い及び酒気帯び運転並びに速度違反について,昭和51年の取締件数を,前年と対比してみたものである。速度違反及び酒気帯び運転は前年より増加しているが,無免許,酒酔い運転は減少している。
 交通事犯の中で一般に悪質とされている「ひき逃げ」事件は,昭和51年では前年より2,062件増加して,3万453件となっている。その死傷者数も前年より2,068人増加して3万5,279人の多数に上っており,それが交通事故による死傷者総数に占める割合は,5.7%となっている。

III-72表 道路交通法違反事件取締状況(昭和51年)

III-73表 無免許・酒酔い・速度違反事件取締件数(昭和50年,51年)

 また,前掲III-72表により,昭和51年における交通反則通告制度の運用状況を見ると,違反取締総数1,183万6,250件のうち,反則事件告知件数は990万4,606件で,交通反則通告制度の適用率は83.7%である。その適用率は,成人・少年事件共に前年より上昇している。警察庁の調査によると,反則金の納付率(告知件数に対する納付件数の割合)は,各年共に95.0%以上で,51年では95.3%となっている。