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 昭和50年版 犯罪白書 第2編/第4章/第4節/2 

2 更生緊急保護の実施状況

 II-100表は,最近5年間の更生緊急保護事件の受理・処理状況及び昭和49年における事件の種別ごとの内訳である。これによると,受理人員の総数は前年よりわずかに減少し,8,715人となっている。35年に2万7,669人もあった更生緊急保護の新受人員は,39年には1万7,698人に減少し,更に,この10年間でほぼ半数になっている。49年の受理人員を事件の種別で見ると,刑の執行終了者が6,991人(80.2%)と大多数を占め,起訴猶予者の1,325人(15.2%),刑の執行猶予者(判決未確定者及び保護観察の付かない判決確定者)399人(4.6%)がこれに次いでいる。前年に比べ,受理総数において刑執行終了者が減少し,刑の執行猶予者と起訴猶予者がわずかに増加している。

II-100表 更正緊急保護事件の受理及び処理人員累年比較(昭和45年〜49年)

 上記の受理人員の94.4%に当たる8,225人に対し,それぞれ,前述の自庁保護若しくは委託保護又はその双方が併せて実施されている。なお,同年中に必要性,相当性に欠けるものとして保護措置を執らない決定を受けた者が,前年に引き続いて激増し,490人にも達していることが注目される。
 更に,保護措置の内訳を自庁保護と委託保護について表示すると,それぞれ,II-101表及びII-102表のとおりである。昭和49年における自庁保護の総数は4,616人(II-100表中の自庁と自庁及び委託の合計)で,前年に比べ375人の減となっている。一方,更生保護会に新たに委託された者は4,062人であり,ほぼ同数の4,059人が保護を受け終わっており,49年末現在委託による保護中の人員は527人である。それら委託の内容は,例年,ほとんどが食事付宿泊の供与である。

II-101表 自庁保護の実施人員(昭和49年)

II-102表 委託保護の実施人員(昭和49年)