前の項目   次の項目        目次   図表目次   年版選択
 昭和50年版 犯罪白書 第1編/第2章/第4節 

第4節 外国人犯罪

 我が国に入国する外国人の数は,年々増加しており,昭和49年には約72万人となり,10年前と比べて約2.6倍の増加となっている。また,法務省入国管理局の統計によると,外国人登録法に基づく外国人の登録人員も,40年3月末現在の66万1,783人から50年3月末現在の74万7,636人に増加している。そのほか,外国の外交官など外国人登録法の対象とならない外国人がいるので,最近の我が国に在留する外国人の数は七十数万人と推定される。
 このように,国際交流の活発化に伴って我が国に滞在する外国人の数は増加しているが,我が国における外国人犯罪はどのような動向を示しているであろうか。I-47表は,最近5年間における外国人犯罪者の検察庁新規受理人員を示したものである。新規受理人員総数は,昭和47年をピークとしてその後は減少しており,49年には6万6,442人となっている。法令違反の種類別の推移を見ると,刑法犯は逐年減少しているのに対して,道交違反は48年まで増加した後,49年には若干減少している。その他の特別法犯は,47年をピークとして48年及び49年と減少している。また,49年の新規受理人員中に占める外国人の割合を見ると,刑法犯では2.1%,道交違反では1.5%と低率であるのに,その他の特別法犯では15.4%と比較的高い比率となっている。

I-47表 外国人犯罪の検察庁新規受理人員(昭和45年〜49年)

 昭和49年の外国人犯罪の状況を更に詳しく検討するため,検察庁新規受理人員に占める外国人の割合を主要罪名別に示したのが,I-48表である。外国人の占める割合は,刑法犯では,強盗致死傷・強盗強姦,強盗,恐喝,賍物犯罪などが5%ないし7%となっており,総数における比率(2.1%〉をかなり上回る数字を示している。一方,道交違反を除く特別法犯について見ると,外国人登録法違反や出入国管理令違反で著しく高率であるのは事の性質上当然であるとしても,麻薬取締法違反で53.1%,関税法違反で42.3%などという高い比率を示していることが注目される。

I-48表 主要罪名別検察庁新規受理人員中外国人の占める比率(昭和49年)

 次に,外国人の犯罪がそのほとんどを占めている外国人登録法及び出入国管理令の各違反を取り上げて,最近5年間の検察庁新規受理人員の推移を示したのが,I-49表である。昭和49年の新規受理人員について45年を100とする指数で見ると,外国人登録法違反では127,出入国管理令違反では171となっている。

I-49表 外国人関係犯罪検察庁新規受理人員(昭和45年〜49年)