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 昭和49年版 犯罪白書 第3編/第1章/第6節/1 

第6節 少年刑務所

1 収容状況

 懲役又は禁錮の言渡を受けた16歳以上20歳未満の少年は,特に設けた少年刑務所,又は一般刑務所内の特に分界を設けた場所(少年区)で刑を執行され,処遇に関しては特に教養訓練に重きをおいた特別の措置を受けることとなっている。そして,少年が20歳に達したとき,直ちにこれを成人刑務所に移すことが処遇効果上適当でないと認められた場合には,最高26歳に達するまで少年刑務所で処遇を継続することができる。
 昭和48年末現在の少年受刑者数は,III-91表のとおり,331人(うち女子1人)であるが,少年受刑者数は44年以来減少の傾向をたどっている。

III-91表 少年受刑者の年末現在人員(昭和44年〜48年)

 昭和48年中に新たに入所した少年受刑者のうち満20歳未満の者の数は,III-92表に示すとおり205人で,やはり前年に引き続き減少している。

III-92表 20歳未満新受刑者の罪名別人員(昭和46年〜46年)

 III-92表で罪名別人員の最も多いものから5位までを挙げると,業務上(重)過失致死傷と強姦がいずれも46人(22.4%),強盗が32人(15.6%),窃盗が31人(15.1%),傷害・暴行が14人(6.8%)となり,最近3年間の推移をみると,業務上(重)過失致死傷が前年より減少したのに対し,強盗と強姦が前年より増加している。また,構成比としては大きいものではないが,殺人が減少したこと及び麻薬取締法違反がここ数年来初めて登場したことが注目される。
 20歳未満の新受刑者の刑名・刑期をみると,III-93表のとおりである。懲役では,1年を超え2年以下が26.6%で最も多く,次いで,前年最も多かった3年を超え5年以下の25.4%,5年を超え7年以下の13.6%,2年を超え3年以下の12.4%という順になっている。禁錮では,前年まで数%あった6月以下がなくなり,4分の3までが6月を超え1年以下で,残り4分の1が1年を超え2年以下となっている。

III-93表 20歳未満新受刑者の刑名・刑期別人員(昭和46年〜48年)

 次に,昭和48年中の新たに入所した少年受刑者(総数236人)について,その入所度数別人員をみると,III-94表のとおりであり,その99%までが初入者であり,成人受刑者と比較して大きな相違を示している。この初入の少年新受刑者234人について,その保護処分歴をみると,III-95表のとおり,38%に保護処分歴があり,その中の77%が少年院送致の経歴のある者である。この保護処分歴のある者の比率は逐年下降する傾向にある。

III-94表 少年受刑者の入所度数別人員(昭和48年)

III-95表 少年新受刑者中初入者の保護処分歴別人員(昭和46年〜48年)