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 昭和49年版 犯罪白書 第3編/第1章/第4節 

第4節 少年鑑別所

 少年の審判のためには,少年を取り巻く社会環境,生育歴及び少年の資質(知能・性格・技能・態度等)並びにこれらの関連等を明らかにし,個々の非行の原因と現在の問題点を分析し,今後の処遇の方針を総合的に検討することが極めて大切である。このような業務を鑑別と呼んでいる。
 少年鑑別所は,少年の鑑別を行う科学技術官庁として,全国に51庁置かれている。そして,家庭裁判所から観護の措置として送致されてきた少年を収容して,各種の処遇プログラムの中で行動観察をしながら,身体医学・精神医学・心理学・社会学・教育学などの専門的知識に基づいて資質を分析,診断をし,更に各種社会調査結果を考慮し,これらを総合して鑑別を行い,その結果を家庭裁判所に通知している。また,この収容鑑別の外に,在宅のまま家庭裁判所に係属している少年,検察庁が受理している少年,少年院在院中の少年,保護観察中の少年に対しても,請求や依頼に応じて鑑別を行っており,更に,これら以外の一般からの依頼による鑑別ないし相談にも応じている。
 少年鑑別所の設備は年々整備,充実され,施設もIII-64表にみられるように,昭和42年以来半数以上が全面的に改築され,より明るく機能的な環境で,収容・鑑別ができるようになってきており,また,一般からの依頼にも応じられるように外来鑑別室の設備も同時に整備されてきている。

III-64表 少年鑑別所改築状況(昭和42年〜48年)