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 昭和45年版 犯罪白書 第三編/第三章/一/3 

3 道交違反事件の最近の傾向

 III-13図は,昭和四四年中に,警察から検察庁および家庭裁判所に送致され,あるいは,交通反則通告制度の適用を受けて反則金を納付した道路交通法違反事件四,一三五,一〇九件を,態様別に分類したものである。これによると,最高速度違反が三二・八%で,他の違反態様を引き離して第一位であり,この傾向は,数年間変わっていない。次いで,駐停車違反の一八・〇%,無免許運転の八・三%の順となっている。

III-13図 道路交通法違反態様の百分比(昭和44年)

 次に,交通犯罪の中で,一般に,最も悪質といわれている「ひき逃げ」についてみることとする。道路交通法は,車両等の交通による人の死傷または物の損壊があったとき,当該車両等の運転者その他の乗務員は,直ちに車両等の運転を停止して,負傷者を救護し,道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならないとしているが(道路交通法第七二条第一項前段),その中でも,危険性が高く,犯情の重い,人身事故の発生に伴うひき逃げ事件について,昭和三四年および昭和四〇年以降の推移をみると,III-136表のとおりである。これによると,発生件数は年を追って増加し,昭和四四年には二三,六九八件と,一〇年以前の二・八倍になっており,ひき逃げされた事故の死傷者数の増加も著しいものがあるが,人身事故全体の被害者中に占める割合は,むしろ,逐年減少して,昭和四四年には,二・七%となっている。一方,人身事故事件の発生件数中に占めるひき逃げ事件の割合は,全国平均が三・三%となるが,たとえば,東京都ではその割合が二・七%であるのに対し,大阪府では九・三%と,地域によって,かなりの差が認められる。検挙率は,おおむね年を追って上昇し,昭和四四年には,八六・五%に達している。

III-136表 ひき逃げ事件累年比較(昭和34,40〜44年)