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 昭和45年版 犯罪白書 第三編/第一章/三/4 

4 少年の刑事裁判

 家庭裁判所が,刑事処分を相当と認めて検察官に送致した少年事件については,公訴を提起するに足りる犯罪の嫌疑がない場合,送致を受けた事件について,犯罪の情状などに影響を及ぼすべき新たな事情を発見したため,訴追を相当でないと思料する場合,または,送致後の情況により訴追を相当でないと思料する場合以外は,検察官は,公訴を提起しなければならず,事案に応じて,公判請求,略式命令請求または即決裁判請求の手続により起訴され,裁判がなされる。このようにして起訴され,第一審裁判所において有罪の認定を受けた少年に対する科刑の概況を,昭和四〇年以降についてみると,III-69表のとおりである。これによると,有罪を言い渡される少年の数は,昭和四三年以降減少しているが,このうち,罰金刑に処せられた者の減少は,主として,成人について,昭和四三年六月一〇日から交通反則通告制度が施行されたことの影響により,道交違反の検察官送致率が,昭和四二年の一八・三%から,同四四年の九・七%に激減したことに起因すると考えられる。なお,懲役・禁錮の執行猶予率はおおむね上昇の傾向がみられる。

III-69表 少年に対する科刑の概況(第一審有罪人員)(昭和40〜44年)