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 昭和44年版 犯罪白書 第二編/第一章/一/2 

2 被疑事件の処理

(一) 概況

 昭和四三年中に全国の検察庁で処理した被疑者の総数は五,九六五,六四一人(中止・検察庁間の移送のような中間的処理を除くと,四,二七一,六八五人となる。)で,これを前記の中間的処理を除き,処理区分別に百分率を算出して円グラフを作成したものが,II-3図[1]であり,これと比較対照のため,一〇年前の昭和三三年について,同様の試みをしたのが,同図[2]である。また,最近五年間の処理状況を,処理区分別に示すと,II-6表のとおりとなる。

II-3図 処理区分別被疑者数の百分比

II-6表 処理区分別被疑者数(昭和39〜43年)

 昭和四三年中に終局処理された者のうち,起訴された者は,総数の七二・一%にあたるが,その内訳は,公判請求が総数の二・五%,略式命令請求が六八・七%で,即決裁判請求は,総数の〇・九%にすぎない。不起訴処分は,総数の一二・七%であるが,その九割近くが起訴猶予である。また,家庭裁判所送致は,一五・二%となっている。
 この割合を,昭和三三年のそれと比較すると,家庭裁判所送致の占める割合は,ほとんど変わっていないが,略式命令請求の大幅な増加,即決裁判請求の激減が目につき,全体として,起訴が増え,不起訴が減ってきている。また,昭和四三年を前年と比べると,処理総数が大きく減少しているが,これは,いわゆる「交通反則通告制度」施行によって受理人員数が減少したことによるものである。

(二) 検察庁における事件処理期間

 最近の三年間について,各年別に,全国の検察庁で処理された道交違反を除く被疑事件の処理期間をみると,II-7表のとおりである。これによると,昭和四三年は,一五日以内に六一・六%,一月以内に八〇・〇%,三月以内に九〇・一%の事件が処理されているが,この傾向は,各年を通じて変わらず,全体として事件の迅速処理の実をあげているといえよう。

II-7表 被疑事件処理期間別人員(昭和41〜43年)