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 昭和35年版 犯罪白書 第三編/第三章/三/1 

三 仮出獄者に対する保護観察―三号観察

1 仮出獄の手続

 仮出獄は,無期の懲役禁錮については一〇年を経過した後,有期のそれについてはその刑期の三分の一を経過した後に,改俊の情のある受刑者に対し言い渡されるものであるが,仮出獄者に対して保護観察が付せられるようになったのは,昭和二四年七月,犯罪者予防更生法が施行されてからのことである。この法律ができるまでは,仮出獄の許可は,司法大臣の権限であったのが,かわって地方更生保護委員会がこれにあたることとなり,また,仮出獄者に対する保護も,それまでは司法保護委員という篤志家による慈恵的な保護であったのが,保護観察所の保護観察にかわったのである。
 仮出獄の準備作業は,前述のように,環境の調査調整にはじまる。受刑者が刑務所に入ると,刑務所長は,受刑者の帰住予定地を管轄する保護観察所長にその旨を連絡し,保護観察所長は,帰住予定地の保護者がはたして適当かどうかを調査し,不適当なときは,調査調整担当者(多くは保護司)にこれを調整するよう命ずる。調査調整担当者は,命ぜられた調査をし,調整を要する点は調整し,その結果を報告書にまとめ,保護観察所長を通じて刑務所長と地方更生保護委員会に送付する。
 仮出獄の申請は,刑務所の長がする。まず,仮出獄の法定期間を経過した後八日以内に,刑務所の長は,仮出獄の法定期間の経過したことを地方更生保護委員会に通告し,ついで,刑務所内の成績その他からみて,仮出獄を許してもよい情状があると認めれば,その資料を添えて仮出獄の申請書を地方更生保護委員会に送付する。
 地方更生保護委員会は,この申請書によって審理を開始する。まず,主査委員を指名して,本人の改善の程度や釈放後の環境の状況などを調査させる。主査委員は,さきの環境調査調整報告書や刑務所の長の報告書を精査し,場合によっては,本人に面接して審査する。この主査委員の調査がおわると,地方更生保護委員会の審議にかけられるが,仮出獄を許可する基準は,(イ)刑の執行が法定期間を経過しており,(ロ)改悛の情があり,(ハ)仮出獄の期間中再犯のおそれがなく,(ニ)社会の感情が仮出獄を是認すると認められるときで,しかも,本人の性格,行状,態度および能力,施設内での成績,帰住後の環境などから判断して,仮出獄をさせることが,本人の社会人として自立するのにもっとも適当な時期と認められる場合,または社会人として自立することは期待し得ないが,刑期の大半を経過し,行刑成績良好で,保護観察に付して仮出獄をさせれば,本人の改善に役だつと認められる場合に,許可の決定が下される。
 仮出獄の許可があると,本人は,釈放され,指定された帰住地に帰り,指定された期日までに所轄の保護観察所に出頭しなければならない。ここで主任官の面接をうけ,保護観察の心構えを説示され,ただちに担当保護司の許におもむいてその指導をうけるよう,指示される。こうして,仮出獄による保護観察は開始されるのである。