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 昭和35年版 犯罪白書 第三編/第三章/二/1 

1 保護観察官

 保護観察官は,保護観察所に配属されている国家公務員で,心理学,教育学,社会学,精神医学その他更生保護に関する専門知識と技術とを修得していなければならぬケースワーカーでもある。保護観察官は,保護観察ばかりでなく,更生(緊急)保護や犯罪予防の事務にたずさわり,これらの仕事の中核をなすものであるが,これは,通常は,保護司とのチームワークである。
 現に保護観察官として実務にあたっている者は五一〇人で,保護観察対象者は八五,二八三人(昭和三三年末現在)であり,保護観察官一人あたりの負担は,一六七人強となる。これは,欧米の保護観察官にくらべて,きわめて重い負担である。保護観察官の定員は,昭和二八年に五五九人(ただし,保護観察所長四九人を含む)とさだめられてから,今日まで増員されないが,保護観察対象者は,昭和二八年の七五,〇二六人に対し,昭和三三年には上記のとおり八五,二八三人にふえており,増員は当面の急務であろう。