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 昭和35年版 犯罪白書 第三編/第二章/二/3 

3 在院者の分類

 婦人補導院に入院した者については,おおむね二〇日間にわたって入院時の分類調査を行なっている。その結果(昭和三三年五月から昭和三四年一二月までの調査結果)は,III-37表に示すように,年齢からみると,二五才から三四才までがもっとも多く,総数の約五四パーセント,売春経験年数からみると,一年ないし四年がもっとも多く,これに五年ないし九年がつづき,両者をあわせると,総数の約七七パーセントにあたり,知能指数からみると,約八八パーセントの者が普通以下の知能程度であり,また,精神状況からみると,半数以上が正常または準正常でない。さらに,性病の罹患率からみると,約四〇パーセントが性病にかかっており,また,犯歴からみると,約八六パーセントが売春関係法令違反で刑事処分をうけた者である。

III-37表 婦人補導院新入院者の性状(昭和33年5月〜34年12月)

 入院時の分類調査がおわると,在院者の分類級と,補導の計画とがきめられる。分類級は,つぎの四つの基本的な級に分かれる。すなわち,(イ)疾病により療養を要する者,(ロ)精神薄弱者,(ハ)性格異常者,(ニ)心身ともにおおむね正常な者。補導の計画は,これらの分類級に応じて個別的にきめられるが,右の(イ)の分類級に対しては,更生の妨げとなる疾病の治療をし,(ロ)に対しては,特殊教育により精神の欠陥を補正し,能力に応じた技能を付与し,(ハ)に対しては,心理療法と作業療法とによって社会適応性を養わせ,また,(ニ)に対しては,基礎的教養をさずけるとともに,自活するための職業能力を付与する,などに,それぞれ重点がおかれている。昭和三三年五月から昭和三四年一二月までの出院者一八八人につき,分類級別をみると,(イ)に属する者一一人,(ロ)に属する者七八人,(ハ)に属する者八人,(ニ)に属する者九一人となっている。