児童を対象とする代表者聴取の実施件数の総数は、その取組開始時から毎年度増加し続けている。また、精神に障害を有する性犯罪被害者を対象とする代表者聴取の実施も継続的に試行されており、捜査機関である検察・警察において、司法面接的手法を用いた代表者聴取の実施が、着実に定着してきている状況がうかがえる。対象者の年齢から見ると、未就学児から小学生・中学生・高校生くらいまでの世代を対象とした児童等に対する性犯罪被害等の聴取において、対象者の負担軽減及び供述の信用性確保の観点から、代表者聴取が積極的に利用されているものといえる。対象者の障害種別から見ると、知的障害や発達障害が多いが、身体障害と比べると、対象者の障害の有無・程度の把握には困難が伴うため、いかにしてこれを正確に把握するかが、今後の精神に障害を有する性犯罪被害者を対象とする代表者聴取の適切な実施の増加につながるポイントになるものと考えられる。
矯正における被害者等の心情等の聴取・伝達制度、更生保護(保護観察所)における心情等聴取・伝達制度及び更生保護(地方更生保護委員会)における意見等聴取制度(これらの三制度をまとめて「聴取・伝達制度」という。以下同じ。)は、いずれも被害者等の心情等を尊重した被害者支援の制度としての側面もある。そして、聴取・伝達制度の実施状況を罪名・非行名別で見ると、特に加害者が成人の場合に共通して認められる特徴として、詐欺の被害者等による各制度の利用実績の割合が高いことが指摘できる。詐欺被害は依然として深刻な情勢にある中、被害額が高額となる場合も珍しくはない。このように実損害や被害感情・処罰感情が大きいと考えられる犯罪類型であることから、詐欺の被害者等が聴取・伝達制度を利用している可能性が示唆される。