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令和6年版 犯罪白書 第7編/第5章/第1節/3

3 分析対象及び分析方法等

本研究では、女性受刑者の逮捕前の生活状況、生活歴、意識等について、主として男性受刑者との比較から、その特徴等を明らかにし、女性犯罪者全般に対するより効果的な指導及び支援を検討するための基礎資料を提供しようとするものであるところ、戸籍上の性別と自認する性別が一致しない者については、それぞれ個別の事情により、その者の処遇上のニーズや必要とされる配慮は大きく異なるものと考えられること等から、戸籍上の性別と自認する性別が一致する者908人(女性の刑事施設入所者461人、男性の刑事施設入所者447人)を分析の対象とすることとした。

その上で、今回の特別調査は、女性犯罪者について広く総合的にその特徴を明らかにすることに主眼を置いているところ、これまで見てきたとおり、女性による犯罪の中では薬物事犯及び窃盗事犯の占める割合が高いことから、特別調査の結果については、男女の比較に加え、女性犯罪者の特徴をつかむための一つの手がかりとして、薬物事犯者及び窃盗事犯者に関する分析結果を見ることとした。なお、近年における女性の刑法犯検挙人員の罪名別構成比を見ると、傷害・暴行や詐欺の構成比が上昇傾向にあるものの(令和5年は、それぞれ15.0%、4.9%であった。4-7-1-3図参照)、今回の調査結果における女性受刑者の罪名について見ると、傷害4名、暴行0名、詐欺41名といずれも少なく、これらの罪名を個々に取り上げることによって女性受刑者全体の特徴を示すことは困難であると判断したため、これらの罪名については個別の分析の対象としないこととした。