少年保護事件の家庭裁判所新規受理人員の推移(昭和24年以降)は、3-2-2-2図のとおりである。
一般保護事件(道交違反に係るもの以外の少年保護事件。以下この項において同じ。)の家庭裁判所新規受理人員は、昭和41年及び58年のピークを経て、しばらく減少傾向にあった後、20万人前後で推移し、平成16年以降は減少し続けていたが、令和5年は4万253人(前年比18.9%増)に増加した。
道路交通保護事件(道交違反に係る少年保護事件。以下この項において同じ。)の家庭裁判所新規受理人員は、昭和45年の交通反則通告制度の少年への適用拡大、62年の同制度の反則行為の拡大により急減した後、減少傾向にあったものの、令和5年は1万2,389人(前年比14.9%増)に増加した。
令和5年における少年保護事件について、<1>一般保護事件(過失運転致死傷等保護事件及びぐ犯を除く。)、<2>過失運転致死傷等保護事件(過失運転致死傷等(業務上(重)過失致死傷を含む)及び危険運転致死傷に係る少年保護事件)、<3>道路交通保護事件の別に、家庭裁判所終局処理人員の処理区分別構成比を見ると、3-2-2-3図のとおりである(処理区分別・非行名別の終局処理人員については、CD-ROM資料3-10参照)。
令和5年における保護処分に付された特定少年の家庭裁判所終局処理人員の処理区分別構成比を見ると、3-2-2-4図のとおりである(特定少年の保護観察期間については本章第1節3項(3)、保護観察の概要については本章第5節をそれぞれ参照)。なお、家庭裁判所は、特定少年に対して少年院送致の保護処分をするとき、その決定と同時に、3年以下の範囲内において犯情の軽重を考慮して収容期間を定めるところ(本章第1節3項(3)参照)、令和5年における少年保護事件の終局処理人員のうち少年院に送致された特定少年804人について、収容期間の上限が1年以下であった者は31人(3.9%)、1年を超え2年以下であった者は583人(72.5%)、2年を超え3年以下であった者は190人(23.6%)であった(司法統計年報による。)。
犯行時16歳以上の少年による故意の犯罪行為で被害者を死亡させた罪の事件(以下この節において「故意致死」という。)、及び、特定少年に係る事件のうち、死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪の事件(ただし、故意致死に該当する事件を除く。)であって、その罪を犯すとき特定少年に係るもの(以下この節において「短期1年以上の罪」という。)については、家庭裁判所は、原則として検察官に送致しなければならないが、これに該当する原則逆送事件の終局処理人員(年齢超過による検察官送致を除く。以下ウにおいて同じ。)の推移(原則逆送制度が開始された平成13年以降)は、3-2-2-5図<1>のとおりである。14年(83人)のピーク後は、減少傾向にあったが、原則逆送事件の対象が拡大した令和4年から増加に転じており、5年は総数が160人(前年比102人増)であり、検察官送致(刑事処分相当)65人(同33人増)、保護処分85人(同61人増)と、いずれも大幅に増加した(改正法及び家庭裁判所における手続の詳細については、それぞれ本章第1節1、3項参照)。
平成13年4月から令和5年末までの間における原則逆送事件の終局処理人員の合計は1,010人であり、このうち598人(59.2%)が検察官送致決定を受けている。
令和5年における原則逆送事件の家庭裁判所終局処理人員を処理区分別及び特定少年・特定少年以外の少年の別に見ると、3-2-2-5図<2>のとおりであり、特定少年は、検察官送致(刑事処分相当)65人、保護処分83人、その他10人であったのに対し、特定少年以外の少年は、保護処分2人であった。なお、参考として前年(4月1日以降原則逆送事件の対象が拡大)の同図を示したが、特定少年の終局処理人員は、前年と比べて大幅に増加しており、検察官送致(刑事処分相当)となった者の割合は前年より14.6pt低下した一方、保護処分となった者の割合は前年より12.1pt上昇した。
令和5年における原則逆送事件の家庭裁判所終局処理人員を故意致死に該当する事件と短期1年以上の罪に該当する事件に分け、罪名別及び処理区分別に見ると、3-2-2-6表のとおりである。