保護司は、犯罪をした者や非行のある少年の立ち直りを地域で支えるボランティアであり、保護司法(昭和25年法律第204号)に基づき、法務大臣の委嘱を受け、民間人としての柔軟性と地域性をいかし、保護観察官と協働して保護観察や生活環境の調整を行うほか、地方公共団体と連携して犯罪予防活動等を行っている。その身分は、非常勤の国家公務員である。
令和6年1月1日現在、保護司は、全国を886の区域に分けて定められた保護区に配属されている。保護司の人員、女性比及び平均年齢の推移(最近20年間)を見ると、2-5-6-1図のとおりである。保護司の定数は、保護司法により5万2,500人を超えないものと定められているところ、保護司の人員は、4年から2年連続増加していたが、6年は前年よりも減少し、4万6,584人であった(CD-ROM参照)。
2-5-6-2図は、令和6年1月1日現在における保護司の年齢層別・職業別構成比を見たものである。
保護司について、担い手の確保が年々困難となり、高齢化も進んでいる現状を踏まえ、第二次再犯防止推進計画(令和5年3月閣議決定)では、法務省は、時代の変化に適応可能な保護司制度の確立に向け、保護司の待遇や活動環境等について検討・試行を行い、2年を目途として結論を出し、その結論に基づき所要の措置を講じることとされた。これに基づき、令和5年5月、「持続可能な保護司制度の確立に向けた検討会」が法務省に設置され、同検討会において、<1>推薦・委嘱の手順、年齢条件、<2>職務内容の在り方、保護観察官との協働態勢の強化、<3>待遇、活動環境等の論点ごとに、今後講じていく施策等が議論されており、6年3月に中間取りまとめが行われた。
また、令和6年5月、滋賀県大津市の保護司が自宅において殺害され、同保護司が担当していた保護観察対象者が殺人容疑で逮捕される事案が生じたことを受けて、法務省においては、保護司の不安等の聴取や活動環境等の調査を実施するとともに、保護司の不安解消・安全確保に関する対策として、担当保護司の複数指名の積極的運用、保護観察官による直接処遇などの直接関与の強化、自宅以外の面接場所の確保等の取組を実施しており、同検討会においても保護司の安全確保について議論が行われた。
保護司会(保護司が職務を行う区域ごとに構成する組織であり、保護司の研修や犯罪予防活動等を行う。)がより組織的に個々の保護司の処遇活動に対する支援や地域の関係機関・団体と連携した更生保護活動を行う拠点として、全国全ての保護司会に更生保護サポートセンターが設置されており、令和5年度の利用回数は9万3,412回であった(法務省保護局の資料による。)。