前の項目 次の項目       目次 図表目次 年版選択

令和3年版 犯罪白書 第4編/第8章/第2節/2

2 矯正

4-8-2-2図は,年齢層別の入所受刑者人員及び高齢者率(入所受刑者総数に占める高齢者の比率をいう。)の推移(最近20年間)を見たものである。

高齢入所受刑者の人員は,増加傾向にあり,令和2年は2,143人(前年比4.8%減)であるところ,平成13年と比べて約2.1倍に増加している。特に,70歳以上の入所受刑者人員の増加が顕著であり,同年と比べて約3.8倍に増加している。高齢者率を見ると,上昇傾向にあり,令和2年は12.9%であるところ,平成13年と比べて9.3pt上昇している。

女性の高齢入所受刑者の人員も,同様に増加傾向にあり,令和2年は336人(前年比1.8%増)であるところ,平成13年と比べて約5.7倍に増加している。特に,70歳以上の女性の入所受刑者人員の増加が顕著であり,22年以降は一貫して65~69歳の女性の入所受刑者人員を上回っている。70歳以上の女性の入所受刑者人員は,令和2年は245人であった。平成13年以降の女性の高齢者率を見ると,上昇傾向にあり,令和2年は19.0%であるところ,平成13年と比べて15.2pt上昇している(CD-ROM参照)。

4-8-2-2図 入所受刑者の人員(年齢層別)・高齢者率の推移
4-8-2-2図 入所受刑者の人員(年齢層別)・高齢者率の推移
Excel形式のファイルはこちら

令和2年における入所受刑者の人口比を年齢層別に見ると,20~64歳が21.0であったのに対し,65~69歳は10.3,70歳以上は4.6であった。同年における女性の入所受刑者の人口比を年齢層別に見ると,20~64歳が4.2であったのに対し,65~69歳は2.1,70歳以上は1.5であった(矯正統計年報及び総務省統計局の人口資料による。)。

4-8-2-3図は,令和2年における高齢の入所受刑者の罪名別構成比を男女別に見たものである。罪名別構成比について全高齢者で見ると,窃盗が最も高く,次いで覚醒剤取締法違反,道路交通法違反の順であった。女性高齢者は,男性高齢者と比べて,窃盗の構成比が顕著に高い(女性入所受刑者の罪名別人員の推移については,4-7-2-4図参照)。

4-8-2-3図 高齢入所受刑者の罪名別構成比(男女別)
4-8-2-3図 高齢入所受刑者の罪名別構成比(男女別)
Excel形式のファイルはこちら

平成30年度から,各矯正管区の基幹施設(札幌刑務所,宮城刑務所,府中刑務所,名古屋刑務所,大阪刑務所,広島刑務所,高松刑務所及び福岡刑務所)において,入所受刑者のうち,入所時の年齢が60歳以上のものなどに対して,認知症スクリーニング検査を実施し,認知症が疑われると判定された受刑者に対して,医師による診察を実施する取組を行っている。令和元年から実施対象施設に栃木刑務所及び和歌山刑務所が追加され,2年においては,930人に対して検査を実施し,そのうち,医師による診察を受けた者が195人,認知症と診断された者が54人であった(法務省矯正局の資料による。)。