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令和3年版 犯罪白書 第4編/第7章/第2節/3

3 保護観察

4-7-2-8図は,女性の保護観察開始人員及び女性比の推移(最近20年間)を,保護観察の種別ごとに見たものである。保護観察処分少年(交通短期保護観察の対象者を除く。以下この項において同じ。)及び少年院仮退院者の人員は,平成14年まで増加していたが,15年から減少傾向にある。いずれの女子比も,近年は低下傾向にあったが,保護観察処分少年については,28年に10%を下回った後は,29年から令和元年まで上昇し,2年は前年より若干低下した。少年院仮退院者については,平成30年に6.9%まで低下した後,令和元年以降は上昇している。仮釈放者の人員は,平成20年までは増加し続けた後,若干の増減を経て,26年から減少傾向にある。女性比は,上昇傾向にあって12%前後まで上昇しており,30年から令和元年まで低下したが,2年は再び上昇した。保護観察付全部・一部執行猶予者の人員は,平成12年(674人)をピークとして減少傾向に転じた後,22年からの緩やかな増加と28年からの減少を経て,30年に保護観察付一部執行猶予者の増加を受けて増加し,令和元年は減少したものの,2年は再び増加した。近年,女性比は,14~15%台で推移している。

なお,女性の仮釈放率は,令和2年は,74.0%であり,平成13年(80.7%)と比べると6.7pt低下しているが,男性の仮釈放率(令和2年は57.5%)と比べて,相当に高い(2-5-2-1図CD-ROM参照)。

4-7-2-8図 女性(成人・少年)保護観察開始人員・女性比の推移
4-7-2-8図 女性(成人・少年)保護観察開始人員・女性比の推移
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女性の保護観察対象者のうち,その多くを窃盗事犯者が占めている(CD-ROM資料2-9参照)ところ,令和2年に嗜(し)癖的な窃盗事犯者を対象とした「窃盗事犯者指導ワークブック」が作成され,それらの者の保護観察の実施に活用されている(第2編第5章第3節2項(7)イ参照)。特に女性の嗜癖的窃盗事犯者については,過去の傷付き体験から心理的な問題や対人関係の葛藤を抱え,社会不適応状態に陥って,窃盗を繰り返すに至った者が少なくないことから,窃盗に至った要因のアセスメントを行い,適切な処遇を行うことが有用であるとされる。