性的事件については,12年調査から調査対象としているところ,平成29年6月に成立した刑法の一部を改正する法律(平成29年法律第72号)により,従来の強姦が強制性交等に改められ,被害者の性別を問わなくなるなどの改正があったことを踏まえ,31年調査では,24年調査の性的事件に関する調査項目等を一部見直して調査を実施した。
31年調査における過去5年間の性的事件の被害率は,1.0%であった(6-1-2-1図参照)。なお,性的事件について,12年調査及び16年調査では,女性のみを対象としたのに対し,20年調査以降では,男女双方を対象としていること,また,31年調査では,DV,児童虐待のうち性的な被害に該当するものについてはそれらの調査項目において回答を求めていることから,全体を通じての経年比較はできない。
6-1-2-4表は,31年調査における過去5年間の性的事件の男女別の被害者数を見たものである。過去5年間に1回以上性的事件の被害に遭ったことがあると回答した者は,35人であり,そのうち,女性は30人,男性は5人であった。なお,女性回答者の過去5年間の性的事件の被害率は,1.7%であった。
6-1-2-5図は,31年調査における過去5年間の性的事件の被害者の年齢層別構成比を見たものである。
6-1-2-6図は,31年調査における過去5年間の性的事件(複数回被害に遭っている場合は直近のもの。以下この項において同じ。)の被害内容別の被害者数を見たものである。被害の内容は,痴漢(11人)が最も多く,次いで,セクハラ(7人)であった。
6-1-2-7図は,31年調査における過去5年間の性的事件の被害場所別の被害者数を見たものである。被害に遭った場所は,職場・アルバイト先(15人)が最も多く,4割以上を占めた。
31年調査における過去5年間の性的事件の被害者から見た加害者との面識について,「少なくとも1名の名前又は顔を知っていましたか」と尋ねたところ,「少なくとも1名は,名前を知っていた」(15人。なお,名前も顔も知っていた場合は,この選択肢を選択している。)と回答した者が最も多く,次いで,「加害者を知らなかった」(8人)であった。
上記質問において「少なくとも1名は,名前を知っていた」と回答した15人を対象に,被害者から見た加害者との関係別を見ると,6-1-2-8図のとおりである。加害者は,職場の上司・先輩が最も多く,8人であった。
31年調査における過去5年間の性的事件の被害について,「あなた又は誰かが,捜査機関に被害を届け出ましたか」と尋ねたところ,「いいえ」と回答した者の割合は,80.0%であり,暗数が相当数あることがうかがわれる(6-1-2-3図参照)。
捜査機関に被害を届け出なかった理由について見ると,6-1-2-9図のとおりである。「それほど重大ではない」(35.7%),「どうしたらよいのか分からなかった(被害を届け出る方法が分からなかった)」(28.6%)の順に高かった(CD-ROM参照)。