3-2-5-1図 少年の保護観察開始人員の推移
保護観察処分少年（家庭裁判所の決定により保護観察に付されている者）及び少年院仮退院者（少年院からの仮退院を許されて保護観察に付されている者）について，保護観察開始人員の推移（昭和43年以降）を見ると，3-2-5-1図のとおりである。保護観察処分少年の保護観察開始人員は，58年に初めて7万人を超えた後，6万8,000人台から7万2,000人台で推移し，平成2年に平成期で最多の7万3,779人を記録した後，急減し，8年から10年にかけてやや増加したものの，11年以降更に減少し続け，30年は1万2,945人（前年比1,520人（10.5％）減）であった。これは平成初期に多かった交通短期保護観察の対象者の保護観察開始人員の減少によるところが大きい。少年院仮退院者の保護観察開始人員は，元年から8年まで減少傾向にあった後，9年から14年まで増加していたが，その後，再び減少傾向にある（CD-ROM資料3-8参照）。
保護観察処分少年（交通短期保護観察の対象者を除く。以下この項において同じ。）及び少年院仮退院者について，平成元年・15年・30年における保護観察開始人員の年齢層別構成比を見ると，3-2-5-2図のとおりである。保護観察処分少年，少年院仮退院者のいずれについても，元年・15年・30年共に，18・19歳の構成比が最も高い。少年院仮退院者では，30年は，20歳以上を除く全ての年齢層の構成比が15年より低下している一方，20歳以上の構成比が，元年と比べ12.7pt上昇している（CD-ROM参照）。
保護観察処分少年及び少年院仮退院者について，平成元年・15年・30年における保護観察開始人員の非行名別構成比を見ると，3-2-5-3図のとおりである。保護観察処分少年について見ると，元年は道路交通法違反が最も高く，次いで，窃盗，過失運転致死傷等の順であり，15年・30年はいずれも窃盗が最も高く，次いで道路交通法違反，傷害・暴行の順であった。一方，少年院仮退院者について見ると，元年・15年・30年のいずれも窃盗が最も高く，次いで，元年は傷害・暴行，ぐ犯の順，15年は傷害・暴行，道路交通法違反の順，30年は傷害・暴行，詐欺の順であった。これを女子について見ると，保護観察処分少年では，元年は窃盗が最も高く，次いで，毒劇法違反，道路交通法違反の順，15年は，窃盗，傷害・暴行，道路交通法違反の順，30年は，窃盗，道路交通法違反，過失運転致死傷等の順であった。女子の少年院仮退院者では，元年は，ぐ犯が最も高く，次いで，同率で窃盗及び覚せい剤取締法違反であり，15年は，覚せい剤取締法違反が最も高く，次いで，窃盗，ぐ犯の順，30年は，窃盗，傷害・暴行，覚せい剤取締法違反の順であった（CD-ROM資料3-14参照）。
保護観察処分少年及び少年院仮退院者について，平成元年・15年・30年における保護観察開始人員の居住状況別構成比を見ると，3-2-5-4図のとおりである。いずれの年においても，保護観察処分少年，少年院仮退院者共に，「両親と同居」及び「母と同居」の構成比が高いが，保護観察処分少年では，30年は元年と比べ，「両親と同居」の構成比が16.9pt低下し，「母と同居」の構成比が15.3pt上昇している。少年院仮退院者も同様に，30年は元年と比べ，「両親と同居」の構成比が17.9pt低下し，「母と同居」の構成比が14.6pt上昇しており，30年は，「母と同居」の構成比が最も高くなっている。
平成元年・15年・30年における保護観察開始人員について，保護観察開始人員の就学・就労状況別構成比を見ると，3-2-5-5図のとおりである。保護観察処分少年では，有職である者の構成比が，元年（59.4％）・15年（41.9％）・30年（50.2％）のいずれの年においても最も高いが，学生・生徒である者の構成比が，30年は元年より18.7pt上昇し35.5％となっている。他方，少年院仮退院者では，無職である者の構成比が，元年（65.2％）・15年（69.1％）・30年（65.3％）のいずれの年においても最も高くなっている。
