いわゆる危険ドラッグ(規制薬物(覚せい剤,大麻,麻薬・向精神薬,あへん及びけしがらをいう。以下この項において同じ。)又は指定薬物(医薬品医療機器等法2条15項に規定する指定薬物をいう。以下この項において同じ。)に化学構造を似せて作られ,これらと同様の薬理作用を有する物品をいい,規制薬物及び指定薬物を含有しない物品であることを標ぼうしながら規制薬物又は指定薬物を含有する物品を含む。以下この項において同じ。)に係る犯罪の検挙人員の推移(最近5年間)を適用法令別に見ると,4-2-1-5表のとおりである。
危険ドラッグに関しては,指定薬物による保健衛生上の危害を防止するため,平成25年12月,医薬品医療機器等法(26年11月25日前の法律名は「薬事法」)が改正され(平成25年法律第103号),指定薬物の単純所持・使用等についても処罰されることになった(26年4月1日施行)。また,26年1月からは,新たな包括指定により指定薬物の対象が拡大されている。さらに,27年3月,関税法(昭和29年法律第61号)が改正され(平成27年法律第10号),同法においても,指定薬物の輸入が新たに禁止された(同年4月1日施行)。
危険ドラッグに係る犯罪の検挙人員は,平成24年に急増して以降増加を続けていたが(CD-ROM参照),28年から減少に転じ,29年は前年より269人(29.2%)減少した。29年の指定薬物に係る医薬品医療機器等法違反の検挙人員は578人(前年比180人減)であるが,そのうち404人(同115人減)は指定薬物の単純所持・使用等の検挙人員(同法84条26号に規定される所持・使用・購入・譲受けに係る罪による検挙人員のうち,販売目的等の供給者側の検挙人員を除く。)であった(警察庁刑事局の資料による。)。
平成29年における危険ドラッグ乱用者の検挙人員(危険ドラッグに係る犯罪の検挙人員のうち,危険ドラッグの販売等により検挙された供給者側の検挙人員を除いたものをいう。)は,605人であり,年齢層別では,40歳代(208人,34.4%)が最も多く,次いで,30歳代(196人,32.4%),50歳以上(105人,17.4%),20歳代(94人,15.5%), 20歳未満(2人,0.3%)の順であった(警察庁刑事局の資料による。)。