日本と国連の協定に基づき,昭和37年(1962年)に設置され,法務総合研究所国際連合研修協力部が運営している国連アジア極東犯罪防止研修所(UNAFEI:United Nations Asia and Far East Institute for the Prevention of Crime and the Treatment of Offenders)では,刑事司法分野における研修や研究・調査を実施し,アジアを始めとする世界各国の刑事司法の健全な発展と相互協力の強化に努めている。
UNAFEIでは,毎年,国際研修(年2回)及び国際高官セミナー(年1回)を開催しており,平成30年度(2018年度)の国際研修は,「薬物不法取引等犯罪対策の実務」及び「薬物使用者処遇の実務」を,国際高官セミナーは,「非寛容又は差別に動機付けられた犯罪に対する刑事司法的対処」をそれぞれ主要テーマとして開催する。国際研修・高官セミナー及び汚職問題に特化して毎年開催している「汚職防止刑事司法支援研修」には,開発途上国の警察官,検察官,裁判官,矯正職員,保護観察官等や,我が国の刑事司法関係者が参加している。
このほか,特定の国や地域を対象とする研修や共同研究として,「東南アジア諸国のためのグッドガバナンスに関する地域セミナー」,タイ法務省と共同で実施しているカンボジア,ラオス,ミャンマー,ベトナムに対する社会内処遇推進のための研修やネパール,ベトナム,ミャンマーを対象とした研修・共同研究がある。
UNAFEIの研修に参加した刑事司法関係者(日本人を含む。)は,138の国と地域から,5,700人以上となっている(平成30年(2018年)6月現在)。
また,UNAFEIは,19の機関で構成されている国連犯罪防止・刑事司法プログラム・ネットワークの一員として,毎年,コミッションに参加しているほか,他の国連犯罪防止・刑事司法プログラム・ネットワーク機関(PNI)とも緊密な連携を取りながら犯罪防止や刑事司法に関する国連の政策の立案・実施にも協力し,持続可能な開発目標(SDGs)の推進に努めている。
なお,平成29年(2017年)10月,UNAFEIは,東京都府中市から東京都昭島市に新設された国際法務総合センター国際棟に移転した。