前の項目 次の項目       目次 図表目次 年版選択

平成30年版 犯罪白書 第2編/第4章/第2節/4

4 就労支援

法務省は,受刑者等の出所時の就労の確保に向けて,刑事施設及び少年院に就労支援スタッフを配置するとともに,厚生労働省と連携し,刑務所出所者等総合的就労支援対策を実施している。この施策は,刑事施設,少年院,保護観察所及びハローワークが連携する仕組みを構築した上で,支援対象者の希望や適性等に応じ,計画的に就労支援を行うものであるが,その一環として,刑事施設では,支援対象者に対し,ハローワークの職員による職業相談,職業紹介,職業講話等を実施している(保護観察所における就労支援については,本編第5章第2節2項(4)参照)。

また,平成25年2月に,日本財団及び関西の企業7社が,少年院出院者や刑務所出所者の更生と社会復帰を目指す「職親プロジェクト」を発足させた。同プロジェクトは,少年院出院者や刑務所出所者に就労と教育の機会を提供することで,円滑な社会復帰を支援するとともに,再犯者率の低下の実現を目指しており,30年5月末現在で,107社が参加している(日本財団の資料による。)。

平成26年2月からは,刑務所出所者等の採用を希望する事業者が,矯正施設を指定した上でハローワークに求人票を提出することができる「受刑者等専用求人」の運用が開始され,事業者と就職を希望する受刑者とのマッチングの促進に努めている。

さらに,受刑者等の就労先を在所中に確保し,出所後速やかに就労に結び付けるため,平成28年11月から,東京矯正管区及び大阪矯正管区にそれぞれ設置された矯正就労支援情報センター室(通称「コレワーク」)が,受刑者等の帰住地や取得資格などの情報を一括管理し,出所者等の雇用を希望する企業の相談に対応して,企業のニーズに適合する者を収容する施設の情報を提供するなどして,広域的な就労支援等に取り組んでいる。30年度からは,刑務所出所者等の雇用経験が豊富な事業主等を刑務所出所者等雇用支援アドバイザーとして招へいし,刑務所出所者等の雇用前後における事業主の不安や疑問等の相談に応じられる体制を整備した。