裁判員裁判(裁判員の参加する刑事裁判)対象事件(死刑又は無期の懲役・禁錮に当たる罪に係る事件及び法定合議事件(死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役・禁錮に当たる罪(強盗等を除く。))であって故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪に係る事件)の第一審における新規受理・終局処理(移送等を含む。以下この章において同じ。)人員の推移(最近5年間)を罪名別に見ると,2-3-2-5表のとおりである。平成29年の終局処理人員において,裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(平成16年法律第63号。以下「裁判員法」という。)3条1項により,被告人の言動等により,裁判員やその親族等に危害が加えられるなどのおそれがあって,そのために裁判員等が畏怖し裁判員の職務の遂行ができないなどと認められ,裁判所により,対象事件から除外する決定がなされた者は9人であった。一方,裁判員法3条の2第1項により,審判に要すると見込まれる期間が著しく長期にわたることなどを回避することができず,裁判員の選任が困難であるなどと認められ,裁判所により,対象事件から除外する決定がなされた者はいなかった(最高裁判所事務総局の資料による。)。
なお,平成29年に第一審で判決を受けた裁判員裁判対象事件(裁判員裁判の対象事件及びこれと併合され,裁判員裁判により審理された事件。少年法55条による家裁移送決定があったものを含み,裁判員が参加する合議体で審理が行われずに公訴棄却判決があったもの及び裁判員法3条1項の除外決定があったものは含まない。以下この節において同じ。)における審理期間(新規受理から終局処理までの期間をいう。以下この節において同じ。)の平均は10.1月であり,6月以内のものが27.3%を占めた。また,開廷回数の平均は4.9回であり,3回以下が24.1%,5回以下が約4分の3を占めた(最高裁判所事務総局の資料による。)。
2-3-2-6表は,平成29年において,第一審の判決(少年法55条による家裁移送決定を含む。)に至った裁判員裁判対象事件について,無罪の人員及び有罪人員の科刑状況等を罪名別に見たものである。